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ステージゲート法による革新的な製品を生み出すイノベーションマネジメント

経営者の意志決定をサポートするステージゲート法-誤解と本質

(第2回)


日本においてもステージゲート法という用語は広く知られていますが、必ずしもその本質が理解されているとは言えません。今回は、日本企業で良く見られるステージゲート法の誤解を紹介し、その後ステージゲート法の本質について考えていきます。

ステージゲート法に関しての誤解-テーマ評価プロセスで機械的

誤解1-単なる複数のステージとゲートから構成させるテーマ評価プロセスである

 ステージゲート法とは、テーマごとのマネジメントプロセスを複数のステージ(活動)に分割し、テーマとテーマの間に、次ぎのステージに進めるかどうかを判断する関門(ゲート)を置くプロセスと理解されています。もちろん、これは間違いではありません。たしかに、このような構造を表した図で紹介されることも多く、また、その名前からしても、“ステージゲート法”と命名されています。

 しかし、このことは、ほんの一部の外見的な特徴を説明しているに過ぎません。その内容については、本連載全体を通じてこれから詳しく説明していきますが、この手法は、このような外見的な特徴を超え、技術開発・製品開発テーマを効果的にマネジメントし、事業における成功を実現するための様々な工夫が盛り込まれている方法論です。

 また、ステージゲート法は、事業における成功を求めて年々進化してきている方法論です。したがって、5年後・10年後は、現在のものとは変わっているかもしれません。事実、1980年代に開発された内容と現状の内容では、かなりの差があります。それは、ステージゲート法の開発者であるロバート・クーパー教授とその同僚が、世界中の活用企業でのベストプラクティスを収集し、それらを組み込み進化させてきたからです。今あるステージゲート法の姿は、クラウドソーシングの結果なのです。

誤解2-ゲートでの厳格な基準に基づきテーマを機械的に評価する

 ステージゲート法について多くの人達が持っている印象に、「ゲートでの厳格な基準に基づきテーマを機械的に評価し切るもの」があります。たしかに、そのように運用されている例は多くあります。

 しかし、本質はそうではありません。最終的なテーマの合否の判断は、あくまで経営者の意思に基づいて行なわれます。もし、機械的に算定された各テーマの評価点により、テーマの合否が決定されるということであれば、経営者は不要です。そもそも、評価をする前提条件や情報は不確実性を内包しており、全ての必要情報を収集し形式知化することは不可能です。不確実性や欠けている情報もありながら、経営陣が自身の経験と英知を集め、事業における成功を達成するために、できるだけ合理的な判断することを支援するのがステージゲート法です。つまり、経営者のデシジョン・サポートシステムです。経営者の判断を置き換えるものではありません。

誤解3-ステージゲート法はデザインレビューである

 デザインレビュー(DR:Design Review)は、日本企業に広く普及している仕組みです。設計が進むに従い、要所々々に関門を設け、複数の評価者によりプロジェクトを評価するというものです。このデザインレビューと混同されている例が、大変多いように思います。

 活動ステージ(活動)の間に、次のステージに進めるための関門(ゲートやデザインレビュー)を設けるという点では、確かに両者は同じです。しかし、両者は4つの点で異なり、現実には別ものなのです(図1)。

 まずDRの目的は、技術や品質において失敗しない製品を出すことです。一方でステージゲートのゲートは、そのテーマを事業の面で成功させることを目的にしています。したがって、評価対象もDRが技術や設計面であるのに対し、ゲートではあくまで事業面です。そのため、DRでは設計の完成度を上げるための議論やアドバイスなどの活動を行いますが、ゲートではテーマを事業の成功の面から冷徹に判断し、不適切なテーマは中止します。また、そもそも、その哲学からして両者は異なります。DRではなんとかそのテーマを性善説で良くしようと考えますが、ゲートではそもそもテーマは当初は玉石混交なので、必ず混じる筋の悪い石を性悪説に基づき切ると考えます。

 
図1:デザインレビュー(DR)とステージゲートの比較   

 それではステージゲート法の本質とはどのようなものなのでしょうか?次項で更に解説していきます。

次のページ
ステージゲート法は不確実性をマネジメントし革新的な価値を創出する仕組み-本質1

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この記事の著者

浪江 一公(ナミエ カズキミ)

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4526 2013/03/18 18:21

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