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「第一回samuraiモノフェスティバル」レポート


2月16日に東京ベイエリアのテレコムセンターで開催された「第一回samuraiモノフェスティバル」(以下、MONOフェス)に参加して来ました。本記事では、3つのセッションをピックアップし、モノづくり系スタートアップの動向をレポートします。前半は、NHK出版松嶋氏の司会による、ガラポンTVの保田氏とユカイ工学の青木氏による対談の様子をお伝えします。後半は、Skyland Ventures代表パートナー木下慶彦氏の司会による、テラモーターズ徳重氏×フリージャーナリスト井上氏、テラモーターズ徳重氏×グリーンロードモータース小間氏、という2つの対談の様子をお伝えします。

ハードウェア/ソフトウェアベンチャーに共通する「オンライン・コミュニティ」の重要性

 ビズジェネが注目したセッションの1つが、ユカイ工学 青木俊介氏、ガラポン 保田歩氏 、NHK出版 松嶋倫明氏の対談だ。

左から、NHK出版 松嶋倫明氏、ユカイ工学株式会社 青木俊介氏、ガラポン株式会社 保田歩氏

 NHK出版のチーフエディターを務めている松嶋氏の司会で、青木氏と保田氏が対談する形でセッションは進行した。松嶋氏は、昨年暮れに翻訳出版された『MAKERS - 21世紀の産業革命が始まる』を担当し、メイカーズ・ムーブメントの牽引役の一人といって良いだろう。

 保田氏は、1セグ放送8局分を3ヶ月分録画できるという「ガラポンTV」を開発するガラポン株式会社の代表を務める。単なる録画サービスではなく、番組情報APIを提供することでユーザが便利なサービスを立ち上げるというソーシャルな側面を持っている。前職でネット上でのTVサービスを企画したが、広告収入ではビジネスが成立せず一旦諦めたという経緯がある。その結果、ネットサービスがだめならネットと連携する高機能な録画機にすれば良いと気づき、結果としてこのビジョンを実現するハードウェアを開発するためにガラポンを起業したということだ。

 複数台のチューナーを搭載した試作機は自費で開発したが、本格生産のためには資金調達が必要だった。当時はクラウドファンディングの仕組みはなかったので、先行予約で受注が取れることを証明し、ベンチャーキャピタルから投資を受けて本格生産を行ったそうだ。量産には品質の確保とロットの確保が必要なので、ちょうど売り切れるくらいの生産量にして、投資リスクをヘッジしているという苦労話も紹介された。現在売り切れ中なので、次の製品を準備中とのことだ。

 青木氏が代表を務めるユカイ工学株式会社は、家庭用ロボットを開発しているベンチャー企業である。「ユカイ」の由来は、SONYの設立趣意書にある「・・愉快なる理想工場の建設」からとっているとのことで、モノづくり企業らしさを感じさせる。青木氏はもともとチームラボのCTOだったが、ブラウザのヴァーチャルな世界から外に出て、もっと豊かな現実世界で仕事をしたいと考えていたそうだ。2005年前後はホビイストのロボットコミュニティが活発に活動していて、自分もロボットを手がける決心をして起業している。当初は資金も人材も不足していて、未踏ソフトウェア助成金を獲得したり、大学生のアルバイトをロボット工学の研究室に進ませて再リクルートするなど、苦労しつつも工夫が見て取れる。

 近い将来には家が全部ロボット化するというビジョンを持っており、「トイレが健康診断する」「冷蔵庫がメニューを考える」といったアイデアを披露した。一緒に生活するには、なんらかのキャラクター性を持っているロボットでいてほしいはずで、現状とその世界とのギャップにビジネスチャンスがあるはずだとした。

 お二人が共通して指摘したのは、オンライン・コミュニティの重要性である。「家電はこれまでは孤立した存在だったが、ネットワークとつながり、コミュニティとつながることで再発明される時代に来ている(保田)」「これからはモノのインターネット化が進んでいくはずで、ユーザニーズを育てるコミュニティとの連携を大切にしたい(青木)」という指摘は、ハードウェア・ベンチャーの一つの方向性を示しているのではないだろうか。

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「モノづくりベンチャー」の盛り上がりを象徴する質疑、会場展示

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この記事の著者

高野 元 (タカノ ハジメ)

創発計画株式会社 代表取締役 / サービス開発コンサルタントR&Dエンジニアとしてキャリアをスタートし、NECにてインターネット・サービス技術の研究開発に10年間従事。そのなかで、スタンフォード大学客員研究員としてシリコンバレーの息吹を体感。ビッグローブ事業部(現NECビッグローブ株式会社)...

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