非順序実行方式では、検索処理を行単位に細分化し、それを複数のタスクに割り当てて並列に実行する。これにより、非順序実行方式を採用していないデータベースと比べ検索タスクを超高多重で実行できる。その結果、大規模データに対し、SQLを使用した複雑な検索がきわめて高速に実行できるというわけだ。このHADBが採用している技術は、じつは内閣府が創設した最先端研究開発支援プログラムで採択された「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」という、日立と東京大学の共同研究から得られた成果を応用している。
このHADBは、昨今進歩が著しい、ハードウェアの高性能化に頼って高い性能を得ているデータベース基盤ではない。まさに「新しいソフトウェア技術」であり、汎用的なハードウェア構成でもかなりの高速性能を発揮するもののようだ。こういったテクノロジーが純国産技術として登場しているわけで、DB Onlineとしてもちょっと応援したくなるところだ。
とはいえ、これだけの説明では「なんだか速そうなデータベースが、新たに登場したのね」ということしか分からない。そもそもこれでなぜ高性能を発揮できるのか、いったいどういったところからこの技術が生まれたのか。そして、この新たな国産テクノロジーを実際のビジネス現場ではどのように活用すればいいのか。
そういった疑問に応えてくれるセミナー「春の情活塾 純国産DWH×BIで、日本のビジネス現場にビッグデータを!」が、3月18日、東京秋葉原で開催される。「非順序実行型原理」の生みの親とも言える東京大学生産技術研究所の喜連川 優教授が基調講演を勤め、これら疑問にもきっと応えてくれるはず。さらには、ある種ブーム化してしまったビッグデータについて、実際にそれをどう捉え、どう自分たちのビジネスで活用していけばいいかのヒントも得られるだろう。
ところで、ビッグデータの活用では、どうしてもその圧倒的な大きさにとらわれてしまい、大規模データをどう格納し、それをどうやって高速に処理するかに終始しがちだ。もちろん、ビッグデータ活用ではそれらがままならなければその先には進めない。しかし、ともすると大規模データを格納し高速処理したところで満足してしまうのが現実だったりも。本来の目的は、ビッグデータを分析した結果を、いかにしてビジネスで活用するか、それこそが大事なはず。ここの部分が欠けてしまっては、どんなに高速なデータベースがあっても意味はないのだ。
今回のセミナーでは、ビッグデータの分析結果の活用にもちゃんと踏み込んでいる。HADBと同様、これまた国産技術であるウィングアークの情報活用ダッシュボード「MotionBoard」がいち早く「HADB」に対応。ビッグデータを高速処理した結果を、どのように活用すればいいのか、そしてどのように共有し次なるアクションに結び付ければいいのか、といったあたりについても解説が行われる予定だ。
そして、今回のセミナー、もう1つのキーワードはまさに「国産技術の組み合わせ」だろう。IT業界の多くのテクノロジーは、いまや海外勢に席巻されている。だからといって、決して日本のIT技術が他より劣っているということではない。今回のセミナーでは、日本の最先端IT技術の担い手でもある喜連川教授と、日本のソフトウェア技術をグローバルに向け展開し、企業の情報活用を支援することに注力しているウィングアークの内野社長が、ビッグデータ時代に日本企業がどのように情報活用していけばいいのかについての対談も行われる。国産技術ならではのきめ細かいユーザーへの配慮など、活用すれば日本企業の発展に必ず寄与するであろう日本の技術の優位性についてもきっと話が出るに違いない。日本を元気にしたいという思いを持っている人は、必見にのセッションとなりそうだ。