前回は「モノ+サービス」が進化する過程を整理し、「ハードウェア+ソフトウェア」という「モノ+サービス」の進化を例にして、現在に至るまでの組み合わせの進化を概観し、今後の進化をの方向性を提示しました。今回は「モノ単体での発想」から「モノ+サービス発想」へ移行するためのポイントについてお伝えします。
本連載筆者による、『サービスデザインワークショップ』開催決定!

本ワークショップでは、プロダクト発想からサービス発想に転換するためのポイントを紹介しながら、モノだけではないモノ+サービスの製品・サービス開発を実現するためのノウハウをお伝えします。
日時:11月14日(木) 13:00~17:30(受付開始は12:30)
受講料:38,000円(税別)/39,900円(税込)
会場:株式会社翔泳社(東京・四谷三丁目)
お申込・詳細 ⇒ こちら
サービス経済の進化-価値の源泉が大きく変化している
サービス経済への移行は古くはダニエル・ベルの1970年代の著作「脱工業社会の到来」から連綿と議論されてきました。ダニエル・ベルの議論以降、既にITが産業として大きくなったり、GDPに占めるサービスセクターの比率も確実に大きくなってきたりしています。
サービスデザインが注目されている背景は、こうした大きな流れのなかで、従来モノが担っていた領域にサービスの要素が入り込むことで、インダストリアルデザインなどが担ってきたモノのデザインに加えて、「サービスをデザインする必要性」が出てきたことにあります。
前回の連載でも解説したように、こうした事象の背景には、価値の源泉が「モノだけではなくサービスにも生じていること」にあります。そのことを別の言い方で表現すれば、価値の源泉が「所有価値から使用価値、コミュニティ価値へと移行している」と表現できるのです。

たとえば、自動車にはA地点からB地点へ移動する使用価値の他、車を所有することで社会的地位がアピールできるなどの所有価値があります。一方で、カーシェアを利用する人にとっては車の所有価値には魅力はなく、より利便性の高い使用価値を重視しています。
以前の連載で紹介したアメリカのZipcarなどは、車を所有する以上の便利さ、楽しさに満ちた体験を使用価値として提供しているのです。最近では使用価値だけではなく、ある種の「コミュニティ価値」ともいえる要素を付加したサービスが多く登場しています。
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- この記事の著者
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岩嵜 博論(イワサキ ヒロノリ)
株式会社博報堂 コンサルティング局ストラテジックプラニングディレクター
博報堂において国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、近年は生活者発想によるビジネス機会創造プロジェクトをリードしている。専門は、エスノグラフィックリサーチ、新製品・サービス開発、ビジネスデザイン、ユーザ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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