価値創造システムを「消費者と企業が共創する」ものとして変革する
従来のビジネスにおいては、価値を創造するのは企業であるという前提のもと、オペレーションと管理が行われてきました。つまり、「企業が提供するプロダクトやサービスを決定し、消費者はそれを受け入れる」という誰もが暗黙的に認識している考え方です。ところが、新しいビジネスの考え方である価値共創は、「価値は消費者と企業が共創するものである」という発想の転換が必要となってきます。したがって、その価値を創造するための事業構造は、「企業が消費者とその共創経験を中心に再構築」しなければならないことを意味します。
本書の至るところで、これらの発想転換のポイントが記されていますが、重要な部分だけを抽出して簡単に整理してみました(図4)。
「価値共創」時代のビジネスモデルとは?
さて、ここからは私の解釈となりますが、本書で唱えられている新しい考え方の主要なポイントをビジネスモデルに落し込んでみました(図5)。
ビジネスモデルの中身には価値共創の概念を考慮したフレームワークとなっています。第一に、価値提案のサブ要素であるオファー属性として価値論拠を定義し、価値論拠の1つに経験価値を取り入れています(残りは、信頼価値、利便価値、リスク価値、機能価値、金銭価値です)。第二に、顧客リレーションシップのサブ要素であるメカニズムのタイプとしてコ・クリエーション(共創)やパーソナライゼーションを取り入れています(残りは、ブランド、評判、信用)。また、本来のビジネスモデルキャンバス上のパートナーシップを協働ネットワークという言葉に変えたのもプラハード氏の影響です。