デジタル化に取り組む世界と日本の違い
ガートナーは、世界のCIOに対して行った、CIOが抱える次世代の課題に関する調査結果を発表した。調査に回答したのは全世界84カ国の2,810名のCIO、うち61名は日本のCIO。回答企業の売上高を合計すると約12兆1,000億ドルにもなる。そのうち1兆ドルほどが日本企業の分だ。また回答企業のIT支出総額はおよそ3,970億ドルで、日本は約133億ドルとなる。
調査対象企業の2015年のIT投資動向は、世界では前年比1.0%増、日本はマイナス0.8%。世界、日本ともに増やすと回答した人が減らすと回答した人よりも多い。投資はフラットという回答は、世界が39%に対し日本は46%となっている。また、増やす企業の平均投資額よりも減らす投資のマイナス分のほうが額が大きくなっている。こういったことから、全体の傾向としては世界的にはまだまだ投資には慎重であり、日本は世界に比べさらに慎重ということになるだろう。
新たなITの役割として注目されつつある「デジタル化」には、世界のCIOはどう取り組んでいるのか。調査の結果からは、日本も世界もデジタル化に対する感度は高いことが読み取れる。とはいえ、デジタル化のリスク対応は現状の投資規模では不十分と答えているCIOが世界では69%いる。ところが日本は46%と低い。これは日本が世界よりデジタル化が進み、リスク対策も先行しているというよりも、デジタル化が遅れているのでリスクそのものについて十分な検討がなされていないと解釈すべきなのだろう。
「2015年、デジタル化を進める上で重要になるのはCIOです」とガートナー リサーチ部門 日本統括 バイス プレジデントの山野井聡氏は述べる。そして、デジタル・リーダーシップは、これまでの流儀とは違ったやり方をしなければならないことを強調する。
そのような中で、「デジタル化は誰がリーダーシップをとるべきか」という質問に対し世界では47%、つまりおよそ半分はCIO自身がやるべきだと回答している。対する日本はCIOがやると回答したのは34%に過ぎない。日本では事業部門リーダーが推進役になるべきという回答が28%ある。世界のCIOは自分たちがリードをとるという姿勢なのに対して、日本はそうなっていない結果に。このあたりの結果は、世界と日本のCIOやIT部門の、位置づけの違いだろう。結果的にデジタル化の推進で、日本が世界に後れをとる可能性を示しているかもしれない。