実証プロジェクトの概要
前回の記事では、個人情報保護法の改正によって、個人が特定できないようにデータを加工処理した「匿名加工情報」という個人情報とは別の新たなパーソナルデータの区分が設けられ、本人同意がなくても様々な利用目的に利用したり、第三者へ提供したりすることができるようになったことを紹介した。
匿名加工情報を作成するためには、個人情報保護委員会の基準に基づいて、業界ごとに民間団体が自主ルールを定めることが求められている。本稿で紹介する実証プロジェクトでは、クレジットカード業界における匿名加工情報の作成方法に関するルール作りを目的に、新たなデータ活用ビジネスを題材にして、主要なステークホルダーを集めた検討会を実施した(図表1)。
検討会の体制は、マルチステークホルダーによる構成となるように、事業者、消費者代表、専門家(法律、技術)が委員として、政府機関がオブザーバーとして参加いただいた。また事業者には、クレジットカード会社、加盟店、分析事業者に参加いただき、クレジットカード業界としても、マルチステークホルダーとなるよう配慮した。
目的 | 匿名加工情報の作成方法のルール作り |
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主催者 | 経済産業省 |
事務局 | 野村総合研究所 |
業界 | クレジットカード業界 |
マルチステークホルダープロセス(検討会)・参加者の構成 |
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アドバイザー会議・参加者の構成 |
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実施期間 | 2015年1月~3月 |
▲図表1:匿名加工情報の作成に係る実証プロジェクトの概要
出所:経済産業省事業「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(パーソナルデータ利活用に関するマルチステークホルダープロセスの実施方法等の調査事業)報告書」野村総合研究所(2015年3月)を基に作成
さらに、マルチステークホルダーで構成する検討会の諮問機関として、専門家(法律、技術)を中心としたアドバイザー会議を設置し、検討会で議論する題材を、専門的な見地から分析して助言する機能を有した位置づけとした(図表2)。