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マーケティングは「データへの挑戦」―Oracleのマーケティング・オートメーション戦略

edited by DB Online   2015/09/30 06:00

 マーケティング・オートメーションという言葉がかなり定着してきた。それを実現するための各種ツール群もどんどん進化しており、デジタル化による新たなマーケティングの世界が確実に訪れている。そんな中、Eloqua、Responsysなど、業界でも実績ある製品を次々と買収しマーケティング・オートメーションのポートフォリオを拡充しているのがOracleだ。Oracle Marketing Cloudの製品マーケティングを担当するシニア・ディレクター クリス・リンチ氏に、Oracleが考えている最新のマーケティング・オートメーションの世界と同社の戦略について話を訊いた。

マーケティングがデータに対する戦いになってくる

Oracle Marketing Cloudで製品マーケティングを担当している、クリス・リンチ氏
Oracle Marketing Cloudで製品マーケティングを担当している、クリス・リンチ氏

Q:これからのマーケティング・オートメーションの世界では、事前に決定したカスタマー・ジャーニーでは対応が遅くなるとの話がありました。これはいったいどういうことでしょうか。

リンチ:マーケティングの世界は今、大きく進展しています。データに対する挑戦が起きているのです。ソーシャルネットワークの会話、Webサイト上での行動、モバイルデバイスから得られる各種情報、これら膨大な非構造化データが生まれています。これまではテクノロジー企業などが中心となり、それらのデータを集めるための器を開発しなんとかしようとしてきました。これは、データを1カ所に集めてカスタマー・ジャーニーを最適化する方法です。

 とはいえ、新しいマーケティングの世界では、必ずしも1カ所に集めるのが正解とは限らないのです。マーケターの観点から見れば、1カ所にデータを集めることが重要なのではなく、正しいデータを最適なタイミングで顧客に渡すことが重要なのです。

 Oracleで培ってきた技術には、もちろんデータを集約するものがあります。しかし今回Oracle Marketing Cloudで目指しているのはそれとは異なります。Marketing Cloudを利用しているマーケターの観点で考えると、顧客のエクスペリエンスをいかにして向上すればいいのかがもっとも重要です。これは、ITの顧客が求めているものとは違うのです。ITとマーケターの両方にとって最良なものをと考えたときにどうすればいいのかです。

 長期的にマーケティングの技術を駆使して企業が成功するには、データを集めるのではなく各種アプリケーションをつないで顧客のエクスペリエンスを向上させていく必要があります。

Q:アプリケーションをつなぐというのは、CRMやSFA、カスタマーサービスのアプリケーションをつなぐとことでしょうか。

リンチ:マーケティング・オートメーションは、既存の顧客への対応を置きかえるものではなく補完するものです。たとえばSFAは取引履歴をトラッキングするのには有力なツールです。とはいえ、SFAへのデータ入力は手に入力かもしれません。マーケティング・オートメーションは、SFAに対し補完的に利用できれば、顧客の購買のための行動のようなものも包括的に捉え、それを自動でSFAに取り込むとことも可能になります。

 CRMやSFAからは各種データが出てきます。マーケティング・オートメーションは、それらを顧客のために使えるようにするものと捉えると良いでしょう。たとえばある有望なターゲット顧客がCRMの中にいるとします。CRMからその属性を取り出し、効果的な広告を作って同様な属性を持つ人に広告を打つといった使い方です。

 Service Cloudのところなら、顧客の製品利用動向を見てその顧客がいつ新たなターゲットになるかを見極めることもできるでしょう。たとえば飛行機が遅れてしまい、顧客から満足が得られなかった情報がService Cloudにあるとします。顧客はその会社の飛行機を使って良い顧客体験ができなかった。にも拘わらずすぐにその顧客に対し広告を打つのは効果的ではありません。悪い経験を忘れるまで広告は打たないようにする、そういう判断も必要です。顧客体験は良いことだけではないのです。

 EloquaとService Cloudを組み合わせれば、悪い体験をした際に広告を打たないとのルールを作ることで、こういったことにも自動で対応できます。Oracle Marketing Cloudは、オープンなクラウドサービスなのでOracleの製品だけでなくサードパーティーの各種アプリケーションのデータも利用できます。

Q:マーケティング・オートメーションの対応スピードが速くなっても、とくにBtoBの世界ではセールスのスピードがそれに追いつかずギャップが生まれるのではないでしょうか。

リンチ:BtoBのセールスの人に、マーケティング・オートメーションから生まれるデータを使ってもらうことが重要です。Oracle Eloquaには、セールス・プロファイラーという機能があります。これを使うと、顧客がどういう行動をしているかが見えるようになります。マーケティング・オートメーションで素早く構想を可視化できるようにし、その上でCRMやSFAを使ったセールスプロセスを速くするために最善を尽くすのです。

 これはマーケティング・オートメーションを使って、セールスのインテリジェンスを高めていくことでもあります。そうなれば、結果的にセールスプロセスも速くなるはずです。たとえばEloquaを使って、新たな見込み客がいることが分かります。Eloquaの顧客に関するデータがあるので、セールス担当は「初めまして」というような初歩的な挨拶、質問から入るのではなく、最初から製品やサービスの深い話から始めることができるでしょう。

 マーケティング・オートメーションを活用するようになれば、既存のセールスのスピードよりも速く動ける営業が生まれてくるはずです。なので、マーケティング・オートメーションはマーケティングを変えるだけでなく営業も変えることになります。

 営業が顧客に対し初歩的な情報の提供から始めなくていいことが分かるようになれば、営業は顧客に対してすぐにインサイトを与えることができます。人と人の関係性で売る営業からインサイトを提供する営業にシフトする。これは経験豊富な営業よりも、若手営業の業務スタイルを大きく変えることになるかもしれません。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

  • DB Online編集部(ディービーオンライン ヘンシュウブ)

    DB Online編集部 翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供するデータベース/データテクノロジー専門メディア「DB Online」編集部です。皆様からの情報お待ちしています。 Twitter : https://twitter.com/db_online Facebook : http://www.facebook.com/dbonline.shoeisha

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