テレワーク制度が加速するきっかけは、2011年の東日本大震災
EnterpriseZineでは、テレワーク、リモートワークに注目し、それらを活用した新しい働き方を実践している企業や人に話しを聞く特集企画を実施している。すでにセールスフォース・ドットコム、マイクロソフト、オラクルにテレワークの取り組みを聞いてきた。
これまで取材した企業は、いずれも外資の大手ITベンダーだ。もともと米国などは国土が広く、オフィスに出社せずに国内を飛び回って仕事をしている人が多い。彼らの働き方がテレワークでありリモートワークとなるのも当然だ。これらの企業では早い段階からテレワークを実践できる環境も整っていただろう。そのため、外資企業の日本法人も、比較的容易にテレワーク制度を導入できるようだ。
一方で、日本企業でテレワークを活用している事例はまだまだ少ない。日本ではオフィスに「毎朝出社すること」から仕事が始まる「文化」があるからだ。そんな中、全社を挙げ徹底してテレワークを活用している日本企業がある。それがネットワンシステムズだ。
ネットワンシステムズがワークスタイル変革に取り組み始めたのは、2010年頃。毎年、従業員が増えるのに合わせ、オフィスフロアも増床せざるを得なかった。「なんとかオフィス空間を効率的に有効活用したい。それがテレワーク制度導入のきっかけでした」と語るのは、ネットワンシステムズ 市場開発本部 本部長の松本陽一氏。社員の生産性を上げるためにも、新たな働き方が必要と考えた。
経営企画本部 人事部 部長の下田英樹氏は、「事業を伸ばすためには顧客の満足度を向上させる必要があります。顧客の満足度を考えるのであれば、まずは社員の、そしてその家族の満足度を上げる必要があると考えました」と言う。
2010年から検討を始めたテレワーク制度が加速するきっかけとなったのが、2011年に起きてしまった東日本大震災だった。ここからは、働きやすい環境に加えBCP(事業継続計画)も目的に加わる。
「震災当時は、計画停電などもあり急遽土日に勤務をする必要もありました。単に休日出勤を増やしてしまうと、残業時間が大きく増えてしまいます。人事的な側面からも、テレワークやフレックスを導入して働き方の自由度を上げる必要がありました」(下田氏)