”回避可能な失敗”をいかに回避するか?
「失敗」。できれば聞きたくないこの言葉も”望ましい結果にならなかったこと”と定義して、冷静に見つめるとおよそ3つに分類できます。
まず、1つめは、果敢に挑戦した結果としての失敗。そして、2つめは損害を承知の上、覚悟の上での想定内(織り込み済み)の失敗。最後に、想定外(回避可能であったはず)の失敗です。
経営の判断によっては、データマネジメントの取り組みそのものを果敢な挑戦と捉えることもあるでしょう。また、情報系であると考えて、サンクコスト(埋没費用)にしてしまう例もあるでしょう。
しかし、本連載は『戦略的データマネジメント講座』であり、第1回で記述したとおり、データ分析は「意思決定をより適切に行うために行う行為」ですから、取り組む以上は成功することが前提です。ゆえに、あらかじめ想定される2つの失敗について述べることはありません。
まして、本連載を読まれている読者はおそらく、取り組みのオーナーであり、企画者であり、実行者が大半でしょう。つまり、ここで検討しておくべき失敗は”回避可能であった失敗をいかに回避するか”についてだと考えます。
「勝に不思議の勝あり。負に不思議の負なし」とは、松浦清(肥前平戸藩第9代藩主で、心形刀流剣術の達人。静山と号す)の『常静子剣談』からの引用です。この言葉が示すように、失敗する時には失敗する要素が必ずあるものです。
逆に、たとえ成功したとしても、その中には失敗に繋がることを犯している可能性があり、たまたま成功したに過ぎないのかもしれません。つまり、「必ず失敗する方法は明らか」ですが、「必ず成功する方法というものはない」ということです。
徒然草の第百十段に『勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり 』とある通り、成功させるためには”失敗する要素を極力排除していくこと”につきると筆者は考えています。成功するためには、失敗の要素が何だったか、どうしたらその要素を消せるかを考えていく必要があるというわけです。