今週は、クラウドERPベンダーのネットスイートのカンファレンスイベント「SuiteWorld 16」の取材で、米国カリフォルニア州サンノゼを訪れている。ネットスイートは、セールスフォース・ドットコムとほぼ同じ時期に創業したSaaSベンダー。両社ともOracleからスピンアウトした人たちが起業しており、起業に当たってはOracleのCTOで創業者 ラリー・エリソン氏が大きな影響を与えている。
ネットスイートもセールスフォース・ドットコムもラリー・エリソンのアドバイスから生まれた

ネットスイートの創業者でCTOのエバン・ゴールドバーグ氏は、Oracleでさまざまなことを学び、その後スタートアップで失敗も経験した。さらなる起業を考えていた際にエリソン氏と話をし、アプリケーションをインターネット越しに提供するビジネスアイデアを得ることになる。当初、ゴールドバーグ氏は、提供するアプリケーションとしては、セールス部分をやりたかったそうだ。しかし、エリソン氏はバックオフィスをやるべきだと彼にアドバイスする。結果的にゴールドバーグ氏は、ERPアプリケーションをクラウドで提供することにするのだ。
じつはこの相談をしている場に、後のセールスフォースのCEOであるマーク・ベニオフ氏も同席していた。ゴールドバーグ氏があきらめたセールスのアプリケーションをインターネット越しに提供するビジネスをやることにしたのが、ベニオフ氏というわけだ。
SaaSベンダーであるネットスイートだが、ゴールドバーグ氏によれば同社の強みはプラットフォームだという。このプラットフォームのベースとなっているのが、ビジネス・トランザクションだ。多くのERPアプリケーションが既存の会計のプロセスをシステム化したのに対し、ネットスイートはビジネスで発生するさまざまなトランザクション集めることを考えた。それがプラットフォームになり、それを活用し結果的に強みとなっている会計のアプリケーションが出来上がっている。
「ビジネスモデル、オペレーション、新しいマーケット、カスタマー・エクスペリエンスの4つの領域でイノベーションを続けます。それらはネットスイートの共通のプラットフォーム上に構築されるものです。このプラットフォームこそが、ネットスイートの強さです」(ゴールドバーグ氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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