SharePlexなら安価に高可用性構成を実現可能
SharePlexは、多彩なレプリケーション適用パターンを持っている。参照用のレポーティング、可用性確保ためのフェイルオーバー、負荷分散や分散によるデータ保護のデータ分散、複数データベースからデータを収集するデータ統合、データベース移行などが実現できる。さらに複雑な双方向レプリケーション、テーブルデータを複数で持ち合う離散的な双方向レプリケーションにも対応可能だ。
インターネット・オークションサイトを運営するeBayでは、SharePlexを用い非同期でのデータ統合機能で、高可用性と参照系処理性能の確保をしている。更新系サーバーからレプリケーション機能で参照系サーバーを複数作ることで、スケールアウト構成を実現。大規模な参照処理性能を確保しているのだ。
国内では、関東、東北地域でスーパーマーケットを展開するマルトホールディングスの事例がある。東日本大震災を経験した同社では、災害時にスーパーマーケットがライフラインとなることから、災害対策に取り組んでいる。大規模震災時には、SIなどのパートナー企業の支援がすぐには得られない。またバックアップ、リカバリーでシステムを復旧するのも容易ではないことが分かった。少ない情報システム部門担当者だけで、確実に事業継続する。そのために選んだのがSharePlexだった。
マルトホールディングスでは、SharePlexで遠隔地にデータベースを常時複製しており、障害発生時にはアクセス先を切り替えるだけで業務継続できるようにしている。以前は、Oracle DatabaseのEnterprise Editionを利用していたが、SharePlexを採用する際にそれをStandard Editionに変更、コスト削減と同時に高可用性構成を実現した。これは、バージョンやエディションに依存しないSharePlexだからこそ実現できた災害対策構成だろう。
「小さい企業だから高可用性がいらないわけではありません。とはいえOracleの機能だけで高可用性構成を実現しようとすると、ソフトウェアや導入コンサルタント費用が大きく跳ね上がりなかなか手が出ません。SharePlexなら、安価なStandard Editionでも高可用性構成が可能です」(青木氏)
ちなみに機能的に比較されることの多いOracle GoldenGateとSharePlexの価格を比べると、同じハードウェア環境でEnterprise Editionでは約1.78倍、新しいStandard Edition 2では約7.2倍にもなるという試算結果もある。
セントラル短期FXでは、FXの取引システムでSharePlexを採用している。取引データベースや顧客マスター用データベースなどRACやHA構成のOracle Database Standard Editionの7つのサーバーからSharePlexのレプリケーション機能でリアルタイムに必要な情報を集め、分析用データウェアハウスを構築している。
以前は各データベースからデータ抽出し統合する処理は夜間バッチで行っていた。これに時間がかかるようになり別の方法を模索、結果としてSharePlexの特定テーブルのみ複製できる機能を用い、リアルタイムにデータウェアハウスのデータベースを更新するようにしたのだ。これで日次更新だったデータベースは常時更新されるようになり、リアルタイム分析が可能となった。さらに、データベースのアップグレード時にはStandard Editionに変えることで、リアルタイム分析環境でありながら低コスト化も実現している。
「銀行やカード会社などで分析や不正検知をしたければ、リアルタイムな分析環境は必須です。勘定系システムに影響を与えずにリアルタイムにデータベースを複製し分析環境を作るようなニーズは、今やかなり高いものがあります」(青木氏)