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ITは本当に世の中の役に立っているのか?そもそもITなんていらないのではないか?……といった本質的な問いを胸に秘めながらも、第一線で活躍する二人のIT屋が、バズワードについて、Slerの幸せについて、データベースについて、クラウドについて、エンジニアのキャリアパスについておおいに反省したりしなかったり……エンタープライズITの現場の実情が立ち上る生々しい対話です。
Webでは読めない、神林飛志さん、井上誠一郎さんによる渾身のオリジナルまえがき、あとがき付き!
ぜひご反省ください!
サービス指向のほうへ、あるいは
井上 研究所っていうのは、一つの手ですけどね。おもしろいと思うかどうかは別として。
神林 そのほかのキャリアって言えば、ほとんどが業務アプリケーションを書く人ですよね。SIer。これは多い。めちゃめちゃ多いんだけど、何がまずいかっていうと玉石混交になっていて、その中でどういう風にキャリアパスを考えていくかっていうのは、難しいよねというのはあります。
井上 アプリケーションレイヤーに近くなると、技術を極めるよりもサービス指向になっていくほうがより、心理学的にというか、「これが当たる……!」とか(笑)、そこに愉しみを……。
神林 ……見いだせないと厳しいですよね。
井上 まあ、レイヤが下のほうが偉い立場からするとUIXは上、上っ端ですけど、これはこれでひとつの極み、頂点だと思っていて。サービスを極めるっていうのもエンジニアのひとつの山だと思うので、ここを楽しいと思える人はこっちを突き詰めていけばいいかな。
神林 それでいいんじゃないですかね。そっちはそれでいいと思うんですけど。はい。
井上 それはそれで全然間違った道ではない。
神林 間違った道ではない。どこまでブラウザに付き合うかっていう話になっちゃうんですけど。そっちへ行くと。まあ、クラサバでもないので。
井上 そっちもそれはそういう意味でフロントエンドの技術は変わっていくので、そこをキャッチアップしていく面白さプラス、人に役立つものをどう作っていくかというサービス指向ですよね。
神林 そっちに振ったほうがいいですね。技術はぐるぐる同じところを回ってしまうので、結局同じところに戻ったかーみたいになっちゃいますから、人様のお役に立てる、アプリケーションを作るということに喜びを感じない人は、業務アプリケーションには向いてないと。
井上 その中で最適の技術を学んでいく。今からVisual Basicでそういうの作ってもハマらないので。
神林 逆に言うと、そういうキャリアしかないのかな。
井上 数で言うとそっちのほうが多くて、本当に技術を突き詰めようとすると、そしてさらに日本にこだわると、席は少なくなる。
神林 なるほど。なんかエンジニアの将来は暗いな。
井上 いや、でも、本当に能力があれば、まず日本にこだわらないという手もあるし、もう一つは会社を作って、5年でつぶれるかもしれないけど、そしたら会社を作った経験を元に人について行って、また次の会社とか。そういうのもアリだと思いますけどね。
神林 それって、浮き沈み激しいですよね、なかなか家庭とか持てないですよね。
井上 あー、まあお金なかったらそうですけど。
神林 よっぽどできてる嫁さんがいないと厳しいですよ。
井上 ……なんとかなるんじゃないですかねえ。
神林 なかなか難しいんじゃないかなあ。
井上 会社作って5年でつぶしてまた作って……とやっていると、お金出してくれた人のお金を溶かしているだけの気分になってきますけど(笑)、そこは別にまあ、夢を売ったんだと割り切って生きていく(笑)。
編集部 素晴らしい、鈍感力ですね。ただ、みんながみんな会社を作りたいって思うかというと……。
井上 必ずしも、それこそフォロワーじゃないですけど、常に作るひとじゃなくて、フォロワーでもいいかなと思っていて。
編集部 フォロワー?
井上 フォロワー。面白いこと、会社を作っていこうというエネルギーのある人と一緒に行く。ある程度人脈があると、失敗してもまた声がかかるみたいな。
神林 そういう道はあるかなあ。よっぽど技術がないと厳しい気がする。どうなのかなあ。そういうキャリアって少数じゃないかなあ。
井上 でもさっきのミドルウェアでちゃんとできる人も少数なんで。
神林 まあ、おんなじくらいですよね。その他大勢の人はどうやって。SIerの中でのキャリアパス。わかんねえなあ。