リレーショナルデータベースの話題がたくさんあった2016年
あまり派手な発表はなかったが、IBM DB2も最新版となる11.1が6月から提供されている。今回は前バージョンの10.5から11.1へとメジャーバージョンの更新だ。歴史の長いDB2は、ある意味「元祖」データベース製品と言ってもいいだろう。最新版の11.1では、インメモリ関連の機能の強化が1つの目玉だ。このように進化し続けてはいるのだが、ここ最近のDB2は少しWatsonの裏方的な位置づけに甘んじている印象もあるけれど。
インメモリデータベースのSAP HANAは、サービスパックスタック(SPS)と言う形でこれまで12回の更新を続けてきた。そんなHANAもメジャーバージョンアップで、11月に2.0を発表している。今後は従来の1.0系列がデータベースを安定定期に使いたい人向けとして長期的にメンテナンスが行われ、新しい2.0は最新の機能をいち早く利用したいユーザー向けとなるようだ。
オープンソース・ソフトウェアのPostgreSQLも最新版となる9.6が9月にリリースされた。9.6では、パラレルクエリ機能の実装、同期レプリケーション機能の強化、VACUUM性能の向上などが行われている。ほぼ1年に1回のペースでバージョンアップを着実に続けているPostgreSQLは、いよいよ来年にはバージョン10が登場することなりそうだ。
そんなPostgreSQLについては、もう1つ大きな話題があった。Amazon Web Servicesが提供しているクラウド上のデータベースサービス「Aurora」に、PostgreSQL版が登場したことだ。機能的には最新のPostgreSQL 9.6.1との互換となっており、すでに提供されているMySQL互換のAuroraと同じストレージシステムを採用する。AWSによればこの仕組みで、PostgreSQLの2倍のスループットを実現していると。Aurora for PostgreSQLは11月末のre:Inventで発表され、現在はバージニアリージョンからのプレビューによる提供となっている。