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(第6回)  「戦略意思決定手法」 (2)分析・シミュレーションを活用し、複雑で不確実な事業を直感的に理解する

  2013/10/01 09:00

前回は、戦略意思決定手法のなかで、曖昧で複雑な考えを整理する手法をご紹介しました。前回ご紹介した「デシジョンヒエラルキー」、「ストラテジーテーブル」、「インフルエンスダイアグラム」を活用して、まずは自分の考えを整理し、同僚や意思決定者と共有してみることをお勧めいたします。しかし、企画者が考えてきたことを同僚や意思決定者に理解してもらうのは、そのアイデアの新しさや不確実性のために、かなり時間と手間がかかるものです。そこで今回は、直感的な理解を可能にする分析やシミュレーションをご紹介します。感度分析(トルネードチャート)、リスク分析(モンテカルロシミュレーション)や、デシジョンツリーを活用した期待値計算など、便利なツールが満載です。

分析・シミュレーションの効果

 戦略投資は、企業の新たな成長の柱となることを目指すものですから、新しいアイデアであるだけでなく、それなりの規模があり複雑さを伴います。そのため、意思決定者にとって、わかりにくい案件になりがちです。「分析・シミュレーション」は、複雑な計算・前提条件を、意思決定者が直感的に理解できるように整理して示す、強力な武器です。

 また、戦略投資における分析・シミュレーションは、さまざまな前提条件を設定して行われるものです。検討によって、前提条件が修正される場合には、分析・シミュレーションも修正し、質の高い意思決定に至るまで、何度も反復・修正すると良いでしょう。

 分析・シミュレーションを行う前には、前回ご紹介したインフルエンスダイアグラム等から、ビジネスアイデアの収益構造を把握します。たとえば、利益を計算する場合の「計算式(モデル)と要因(入力データ)」に整理します。そして、それぞれの入力データに関して、高い値を取る場合、低い値を取る場合などの、変動幅を考えます。

 
図1 モデルを整理し、データに変動幅を設定する

 実は、この図1は、連載第4回の図3と同じものです。戦略意思決定法でも、仮説指向計画法(連載第4回で解説)でも、計算式を整理し、確定していない要因に変動幅を考える点は、共通しているのです。

 それでは、まずは代表的な分析手法である「感度分析(トルネードチャート)」をご紹介します。

感度分析(トルネードチャート)

 売上げや利益などに対して不確実性をもたらす要因が複数ある場合、それぞれの要因の影響度を知ることは、ビジネス上とても重要なことです。このようなときには、各要因の影響度を分析する「感度分析(sensitivity analysis)」が効果を発揮します。

 不確実性をもたらす要因とは、たとえば今後のコストであったり、売上げであったりと、現場的な感覚でいえば「気になる」「心配になる」という要因のことです。考えれば考えるだけ、さまざまな心配な要因が洗い出されるかもしれません。とはいうものの、心配な要因すべてに対して、均等に対応するわけにはいきません。ビジネスの世界では、時間は限られていますので、対応すべき優先順位をつける必要が出てきます。

 優先順位が明確に決まれば、別の要因が気になるという意見が出たとしても、感度分析の結果を確認して、影響度の違いを簡単に説明することができます。感度分析は、それぞれの変動要因の影響度を知ると共に、限られた時間の中で、その後のタスクの優先順位を決める手助けにもなるわけです。

図2 トルネードチャートの例

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著者プロフィール

  • 小川 康(オガワ ヤスシ)

    インテグラート株式会社代表取締役社長 東京海上火災保険に勤務後、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授の研究センターに2年間勤務し、不確実な時代のビジネスプランニングを学ぶ。ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。インテグラートは、研究開発投資や新規事業投資、M&A等の...

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