メインフレーマーの恐るべき特殊技能とは?!
メインフレームのデータベースについて今さら知ったところで、何の役にも立たないと思ってるでしょ? はい正解、その通り…って違う違う。実はメインフレームで培われたデータベース技術って、今もいろんな分野で活用されているのだ。それも、単に古いメインフレーム資産が後生大事に使われているところだけじゃなくて、最先端のデータベース技術にもバシバシ応用されていたりする。オープン系のリレーショナルデータベース技術を押さえておいて、それに最近のNoSQL系をちょろっとかじっておけば、一通りのデータベース技術を網羅したつもりになっていたとしたら、まだ甘いかもよ!メインフレーム技術だって、今でも現役バリバリなのだ。
というわけで今回は、日立でメインフレームのデータベース開発に長年携わってきたベテランエンジニアの方々3名にご登場いただき、メインフレームの魅力について存分に語っていただくのだ。
(写真左から)
・ソフトウェア本部 DB設計部 主任技師 松島睦敏さん
・ソフトウェア本部 DB設計部 主任技師 山根康仁さん
・ソフトウェア本部 DB設計部 UL技師 角田伸幸さん
やはりこれまでの回と比べると、年齢層が若干高めかも。でもその分、ベテラン技術者独特の余裕というか、オーラみたいなのを感じるぞ。そうそう、前から一度聞いてみたかったのだが、メインフレームの開発をやってる人たちって、マシン語を読めると聞いたことがあるんだけど、それって本当?
「そうですね、16進のダンプを見れば、大体どういう命令文か分かりますね」(角田さん)
マジっすか!? っていうか、さらっと言ってるけど、それってメインフレームの世界では結構普通のことなの?
「昔のメインフレームの開発では、実機を使ったプログラムテストの時間がなかなか取れなかったんですね。なおかつ、プログラムの入力には紙のパンチカードを使っていた時代ですから、たとえテスト中にプログラムの不具合が見付かっても、普通のプログラム修正では間に合わないんです。となれば、もうその場でバイナリの修正パッチプログラムを作って、無理やりマシンに送り込んで動かすしかない。そんなことをやってるうちに、自然とバイナリでプログラムを読み書きできるようになったんです」(角田さん)
「デバッグも、同じく実機上で調査する時間がなかなか取れなかったので、机上でのデバッグ作業がとても重要視されていました。昔はそれこそ、16進のダンプを紙に打ち出して、それとひたすらにらめっこしながらデバッグをしていました」(山根さん)
ひえーっ! でも16進ダンプのリストだけで、分かるものなんすかね?
「トラブルシュート作業にはタイムリミットがありますから、極限状態になると神経が研ぎ澄まされてきて、16進の数字の羅列からプログラムが浮かび上がってくるんです(笑)」(山根さん)
うーんスゴイわ、この人たち。ハンパない変態……じゃなくて、凄腕だぞ。でもよくよく考えてみると、メインフレーム全盛時代には、こういうのって当たり前のスキルだったんだよねえ。今、オープン系の世界で凄腕プログラマーと言われてる人たちでも、ネイティブのマシン語をスラスラ読める人ってそうはいないはず。そう考えると、昔はハードウェアリソースや開発環境の制約を技術者の力技でカバーしてた分、実は今より高いスキルが求められてたのかもしれない。