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「ハイエンドで培った技術を武器に海外ストレージ市場に挑む富士通」 ストレージシステム事業本部長の五十嵐一浩氏に聞く

  2011/10/03 00:00

国内ではサーバーの売上1位、ストレージで2位のシェアを誇る富士通だが、今後は今まで後塵を拝していた海外のストレージ市場により力を入れていくという。2010年度からストレージシステム事業本部長に着任した同社 執行役員の五十嵐一浩氏に、富士通のストレージ事業の戦略や、昨今のビッグデータやクラウドといったトレンドについて話を伺った。

PC事業と欧州赴任を経てストレージ事業の責任者に

富士通株式会社  執行役員 ストレージシステム事業本部長 
五十嵐 一浩氏
富士通株式会社  執行役員 ストレージシステム事業本部長 五十嵐 一浩氏

― 五十嵐さんは現在、富士通のストレージ事業を率いる立場にありますが、以前はPC事業や、欧州への赴任なども経験されているとお聞きしています。まずは、簡単な経歴を教えて下さい。

 私は1979年に技術者として富士通に入社したのですが、当初は設計者としてFAXや各種端末の設計に携わっていました。その後、1991年にPCの部門に設計課長として異動して、1995年からは主にノートPCのビジネスに携わっていました。

― その後、欧州に赴任されたのはいつ頃のことだったのでしょうか?

 PC部門の本部長を務めていた2009年に、ドイツにある子会社 富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)へ赴任しました。FTSはもともと、1999年に富士通と独シーメンスの合弁会社として設立された富士通シーメンスが母体になっています。富士通シーメンスは彼ら独自のサーバーなどの製品のほかに、富士通のメインフレームやノートPC を扱っていたのですが、富士通のヨーロッパにおける関連会社の統廃合に伴い、SI 会社と合併して、2008年には富士通の100%子会社になりました。そして翌2009年にFTSと名前を変えた後、私が製品ビジネス担当として赴任したのです。

 実はそれ以前から、社外役員として富士通シーメンスとは関わりを持っていた時期もあり、もともと知っている顔も多かったので、赴任した後も割とやりやすかったですね。とはいえ、やはり一緒に仕事をするとなると、文化の違いもあっていろいろ大変な面もありました。向こうの人たちは、もともとは独自の製品に加えて富士通以外の製品も長く扱っていましたからね。それが富士通の完全子会社になって、富士通のグローバル戦略を担う会社として富士通製品をメインに据えるようになったわけですから、当初はなかなかうまくいかない面もありましたが、現在では順調に軌道に乗ってきています。

ストレージ製品は、当時からFTSで扱っておられたのでしょうか?

 かつてストレージ製品に関しては、米国ベンダーの製品をリセラーとして提供していたのですが、2009年以降は富士通のストレージ製品「ETERNUSシリーズ」を全面に出していく方針に転換しています。特にエントリーモデルはFTSのビジネスモデルにうまくマッチしていて、毎年2倍の勢いで売上が伸びています。またそれに伴って、エントリーモデルの現地生産も進めています。

 販売面においても、FTSがカバーする商圏は実に広くて、欧州のほぼ全域のほか、ロシア、東欧、中東、アフリカ、インドまでをカバーしています。社員数も1万人以上いる巨大企業ですから、富士通のグローバル戦略において極めて重要な役割を担っています。

自国にストレージベンダーがいることの意義

― 2010年に欧州から帰国された後は、現在に至るまで富士通のストレージ事業全体を統括されているわけですが、欧州と日本、あるいは北米におけるストレージ製品市場には、それぞれ何か特徴的な違いはあるのでしょうか?

 地理的に離れていることによるタイムラグはもちろんありますが、基本的なユーザーニーズは「高信頼性」「高性能」「最適なコスト」と、欧州も北米も日本も大きな違いはありません。もう1つ重要なのが、サポート体制です。ストレージは「生もの」ですから、完全にメンテナンスフリーというわけにはいきません。したがって、やはり手厚いサポートを提供することが重要です。

 ただ、欧州市場で1つ特徴的なのは、ストレージ製品を自国あるいは欧州地域内で作っているハードウェアベンダーがいないことです。したがって欧州では、どうしても米国ベンダーのストレージ製品を使ったシステムが多いですね。

― そういう意味ですと、ストレージハードウェアを作っているメーカーが国内にいる日本は、ユーザーにとっては恵まれた環境だとも言えそうですね。

 恵まれているかどうかは分かりませんが、長年かけてユーザー企業との間で信頼関係を築けたことは大きいと思います。メインフレームの時代から、銀行や通信キャリア、メーカーなどのミッションクリティカルなシステムをずっと提供してきましたから、システムがオープン系に移行した後も、引き続き信頼して任せていただいているというところだと思います。やはりミッションクリティカルなシステムを任せるとなると、身近にいてきめ細かなサポートを提供できる国内メーカーの方が、ユーザー企業としても安心できるはずです。


著者プロフィール

  • 吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

    早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

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