ガートナー ジャパンは、国内企業のITソーシングに関する最新の調査結果を8月17日に発表した。
2020年4月に国内企業のITリーダー向けに実施した調査において、委託中の開発や運用保守への影響を尋ねた。開発プロジェクトにおいて「一部工程における工期遅延」や「開発中システムの納期遅延」があったと回答した企業が、いずれも40%を超えていた。実際に、大規模な開発では、パートナー企業やオフショアのリソースを活用する場合もあり、当該領域のロックダウン等により工期/納期が遅延した例も見られた。
また、企業に工期/納期の遅延への対策を尋ねた結果では、内部/外部ともに、「一部作業のリモートへの切り替え、自動化、作業の縮退などの代替策の導入」を進めていると答えた企業は54.0%に上った。
今回の調査では、企業のIT戦略遂行における開発・運用保守などにおける、アウトソーシングの位置付けについても尋ねた。その結果、「極めて重要である」「重要である」と回答した企業は89.3%に上り、「重要ではない」と回答した企業は7.5%にとどまった。今回の結果から、企業のアウトソーシングに対する姿勢は、2019年の調査とほぼ変わらない状況であることが明らかになった。
さらに、本調査でデジタル・トランスフォーメーションの取り組みにおける、ベンダーの活用の意向についても尋ねた。その結果、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みでベンダーを「積極的には活用していない」と答えた企業は13.0%にとどまり、約8割の回答企業においては何かしらの領域で外部の人材を活用していることが明らかになった。外部の人材を積極的に活用する領域としては、「企画案の創出(アイデア出し)」や「実証実験プロジェクトの遂行/管理」「実証実験におけるプロトタイプ作成や検証作業」といった項目の選択率が高い結果となった。
この結果に対し、アナリストでプリンシパルの中尾 晃政氏は、次のように述べている。「デジタル・トランスフォーメーションはIT部門にとって、未経験のテクノロジーを用いるだけでなく、自社のビジネス自体を変える新たな取り組みでもあります。このため、専門的な人材や、関連するテクノロジーを提供できるITベンダーが必要とされることが少なくありません。外部の人材については、大手ITベンダーがパートナー候補として挙げられますが、すべての大手ITベンダーが幅広いデジタル・テクノロジーに精通しているわけではない点に留意すべきです。特定のデジタル・テクノロジーに長けた小規模ITベンダーと直接組む機会や、補佐的な専門スキルを求める場合はクラウドソーシングやスキル・シェアリングを介したフリーランスの活用も、これまで以上に検討していくべきでしょう」