日本アイ・ビー・エムは、7月27日プレス向けの会見をおこない、最新の調査「グローバル経営層スタディ:CDOスタディ」の結果を公開した。「データ価値創造型のCDOは他のCDOよりAIを有効活用している」「意思決定の自動化にAIを活用している日本のCDOは世界と比べ約半分」などの興味深い結果が公開された。
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(右)⽇本アイ・ビー・エム株式会社 IBMコンサルティング事業本部 データ&テクノロジー事業部 アソシエイト・パートナー 鈴⽊⾄氏"
(左)⽇本アイ・ビー・エム株式会社 IBMコンサルティング事業本部 データ&テクノロジー事業部 シニア・パートナー事業部⻑ 松瀬圭介氏
(右)⽇本アイ・ビー・エム株式会社 IBMコンサルティング事業本部 データ&テクノロジー事業部 アソシエイト・パートナー 鈴⽊⾄氏
「グローバル経営層スタディ:CDOスタディ」は、日本を含む世界30以上の国で29業種に及ぶ3,000名、うち日本から180名のデータ最高責任者(CDO)を対象に実施したCDOを対象とした調査となる。
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データの品質・ガバナンス・戦略・管理に責任を負う経営幹部であるCDOにかかる期待は高まっている。本調査では、CDOのうち52%は自分の最重要責務はデータ・セキュリティーの確保だと回答をした一方で、自社のデータが安全に保護されていると考えるCDOは61%、日本が56%で、日本がグローバルに比べて低い結果となった。この結果を受け、シニア・パートナー事業部⻑の松瀬圭介氏は「日本のデータ責任者は、企業の経営計画に沿ったデータ活用に比べて、セキュリティやデータ保護、プライバシーの面ではまだ重点が低い結果と見受けられる」と述べる。
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また、データ価値創造に取り組む先駆的なCDOがいる企業は、収益に占めるデータ対策費の比率は他社より低いものの他社と同等以上のビジネス価値を創出していることが明らかにった。本調査では、それを実現している回答者全体のうちの8%、日本においては11%を「エリート・グループ」およびそのCDOを「データ価値創造型CDO」と呼び、共通する以下の4つの特長を紹介した。
データから価値創造に至る道筋を明確化する
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- 組織内のデータ・リテラシーを高め、データの活用によってテクノロジーとビジネスの両面で成果を生み出す「二重の視点」を確立させ、投資利益率(ROI)を高める
- データ・リテラシーを高め、データ・ドリブンな組織になるため「研修を拡充して人材を育成する」、「ワークフォース・アナリティクス(労働力分析)の導入」などを実践している。
- データ価値を脅威から守るため、サイバーセキュリティーに重点を置く
データ投資によってビジネスの成長ペースを加速する
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- 自社のデータ管理戦略をDXに明確に連携させている
- 意思決定の自動化にAIを利用しているなど、他のCDOよりAIを有効活用している
データをビジネスモデルのイノベーションの中核として位置付ける
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- データ投資を通じて、価値を創出する新たな源泉を追求し、イノベーションを促進する
- イノベーションを進めるため、データの可視化を推進するためデータ実務関連に投資を行い、サイロの打破と集中型データ・アーキテクチャーの構築に注力している
エコシステム・パートナーとの連携を最大化する
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- 複雑なエコシステムにおいてパートナーシップの実効性を阻害する要因を分析する
- 顧客企業とその保有データに積極的関わる傾向を強めている
日本IBMのアソシエイト・パートナー 鈴⽊⾄氏は、「データ戦略とDX戦略の整合の観点で今一番取り組まれてるテーマがAIとなる。調査結果からは、日本でもAIや機械学習、アナリティクスへの取り組みがうかがえるが、それぞれ個別分野への適用ではなく、ビジネスプロセス全体で取り入れ、いかにトランスフォーメーションや意思決定に繋げていくかが課題となる」と語る。
最後に松瀬氏は「日本IBMとしてはこうした結果を踏まえ、企業の変革変革マネジメント、イノベーションを推進するCXO/CDOの支援や組織人材育成を含め、データ活用における企業成長に向けたコンサルティングを進めていく」と締めくくった。