複合現実で「ゴジラ・ナイト」、AIで近未来の消費者体験を
2018年、日比谷は次々と生まれ変わっている。歴史を紐解けば、日比谷は1930年代に東京宝塚劇場や日比谷映画劇場が生まれ、映画観劇の中心地として栄えてきた。今では日比谷シャンテの周辺に多くの劇場や映画館が並ぶ。最近では日比谷シャンテ前に日比谷ゴジラスクエアがオープンし、地下鉄から日比谷シャンテをつなぐ地下通路壁面には俳優や歌手ら歴代のスターの手形が並ぶ「The Star Gallery」が設けられるなど、観劇街を象徴する名所が揃っている。
日比谷シャンテも生まれ変わっている。2017年に開業30周年を迎え、施設内も順次リニューアルしている。もともと「楽しみにしていた公演や映画を観に、日比谷に来た」という観客が多く立ち寄る施設だ。エンタテインメントの中心地という土地柄、観劇の高揚感や余韻を楽しめるようにと配慮されている。
これまでは劇場の観客が中心で、客層は40~50代が中心で女性が多かった。ところが最近では周辺にシネコン(TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズシャンテ)や東京ミッドタウン日比谷が加わり、年齢層の若返りや男女比にも変化が表れてきている。
2018年5月には日比谷シャンテと日本マイクロソフトのコラボ企画が発表された。大きく分けて2つ、「ゴジラ・ナイト」と「近未来の消費体験」(Future Retail)だ。前者は日比谷ゴジラスクエアにて、複合現実でゴジラの「日比谷迎撃作戦」を体験するイベント。参加者はマイクロソフトのHoloLensをかけて、本物の日比谷の街並みにゴジラが現れるのを目撃し、力を合わせて立ち向かう(5月下旬に開催。現在は終了)。
東宝 安武美弥氏は「いま日比谷は日本版ブロードウェイとして、観劇とショッピングを楽しめる街へと進化しているところです。ゴジラ・ナイトと近未来の消費者体験は日比谷の進化を後押ししてくれていると思います」と話す。
もう1つの「近未来の消費体験」は日比谷シャンテの地下で提供される3つの「実験」だ。年齢や性別に合わせて提案される映画の予告編を見る、飲食店の空き状況をデジタルサイネージで確認する、スマートフォンアプリから事前に注文や会計する、の3つだ。どれもMicrosoft Azureをベースにマイクロソフトの最新技術を活用している。新しくなった日比谷シャンテで、訪問客は新しいショッピングの形を体験できる。
日本マイクロソフトの河原田羽乃子氏は「新しいコンテンツやサービスは訪問客に新しい体験を提供し、そこから客層に関するデータが得られ、そのデータを分析することで、より効果的なマーケティング企画として新しいコンテンツやサービスが生まれるという好循環が期待できます」と話す。