Oracle Autonomous Databaseのインパクト
続いて登壇した米国オラクルのマリア・コルガン氏(Database Server Technologies マスタープロダクトマネジャー)は、同社が提供する自律データベース「Oracle Autonomous Database(以下、OADB)」について紹介した。OADBの強みは、①セルフドライブ(自己稼働)、②セルフセキュリティ(自己保護)、③セルフリペア(自己修正)を実現できる点にあるという。
「自己稼働では、データベースとインフラの管理・監視・チューニングを自動化します。自己保護では、外部からの攻撃と悪意を持つ社内ユーザーの攻撃からデータベースを保護します。そして自己修正では、予定している保守を含むすべてのダウンからデータベースを保護します。これらは、オラクルがOADBを開発する際に顧客に対して調査したところ、いずれも重大な課題として持ち上がったものです。AIと機械学習を駆使することで実現できます」(コルガン氏)
オラクルは、同社のデータベース製品「Oracle Database 9i」(2001年10月リリース)の時代からデータベースの自動化と最適化に投資をしてきた。また、データベースインフラの自動化にも高額の投資を続けてきた。それらの成果として誕生したOADBは、インフラやデータセンター、機械学習などの自動化により、世界初の完全な自律データベースとして、データのロードやSQLの実行も含め、すべてのライフサイクルを自動化できるという。
「プロビジョニングにおいては、Oracle Exadataによるクラウドインフラ、Oracle RACによるスケールアウト、Oracle Active Data Guardによるスタンバイといった機能を提供します。セキュリティにおいては、オンラインでのセキュリティアップデート、Oracle Database Vaultによる管理者ののぞき見の禁止、全データの暗号化といった機能を提供します。管理においては、すべてのバッチのオンラインでの適用、設定のチューニング、すべてのOSとSYSDBA操作、診断、障害対応の実施といった機能を提供します。さらに、ダウンタイムなしで障害から復旧する機能や、人間の判断を介在せずに最適なワークロードを実行する機能なども提供します。これらの機能により、データベースの全ライフサイクルを自動化します」(コルガン氏)
コルガン氏はまた、OADBには用途に応じたファミリー製品があると述べ、今年3月にリリースした「Autonomous Data Warehouse(以下、ADW)」と、今後のリリースを予定している「Autonomous Transaction Processing(以下、ATP)」の2製品についても紹介。その有用性をアピールした。
「ADWはすべてのデータ分析処理に最適化されており、データウェアハウスやデータマート、機械学習などに利用可能です。一方のATPは、OLTPおよび混合ワークロードに最適化されており、トランザクションやバッチ処理、レポーティングなどに適しています」(コルガン氏)
なお、OADBは既存のデータベースと互換性を持っており、移行ツールを用いれば、MySQLやPostgreSQLなどのオンプレミス環境からクラウドへの移行も安全に行えるという。
「OADBは可用性も担保します。計画停止を含む99.995%の稼働を実現することで、データの安全性を保証するのです。さらに、自律化によってエキスパートの作業時間を最大で80%短縮するほか、ダウンタイムを伴うコストを解消し、ビジネスのスピードアップにも貢献します」(コルガン氏)