デジタル変革のエンジンとしてのオープンソース・ベースのPostgreSQLの優位性
企業が既存のデータと新しいデータを融合してデジタル変革に取り組む際に、あらゆる環境でRDBを活用するのが有効だと分かってきた。その際になぜオープンソース・ベースのPostgreSQLが良いのか。その理由も、顧客とのやり取りの中で見えてきたと佐野氏は説明する。
数年前から富士通ではコスト最適化などを目的に、企業にPostgreSQLを提案してきた。実際に製造業の生産管理システムのデータベースを、商用データベースからPostgreSQLに移行した例がある。
運用を始めると、生産管理システムの横に生産ラインがあり、そこから品質管理に利用できるセンサーデータが大量に生まれていた。これを新たに活用したかったが、さまざまなセンサーから得られるデータのフォーマットは多様で、当初は扱うのにNoSQLデータベースが必要と考えられた。しかしNoSQLでは現場の技術者が扱えないし、その技術を学ぶとなると敷居も高く「それがリアルな崖となっていました」と佐野氏。
ところが改めてセンサーデータを見ると、共通項目も多く正規化できそうだと分かる。さらにPostgreSQLには、外部データへアクセスする仕組みの「Foreign Data Wrapper」があり、その1つの「file_fdw」はファイルデータにアクセスしPostgreSQLのテーブルとして読み込めるもの。
これを使えば、センサーデータをファイルで置いておくだけで、生産管理システムのPostgreSQLに簡単に取り込める。PostgreSQLにセンサーデータが入れば、現場技術者でも知見をベースにしてそれをどう処理すればいいかを考えられる。そこからセンサーデータを扱うためのロジックが生まれ、ロジックがあればさまざまなデータと融合するなど新たなデータ活用に発展させられたのだ。
レガシーな既存システムの商用データベースをPostgreSQLに替え、モダナイズする。それによりライセンスコストが削減でき、その余裕で新しいデータ活用にもチャレンジしやすくなる。その上でPostgreSQLにはさまざまな外部データと容易に連携できる機能があり、既存データと新しいデータを融合して活用するのが容易となる。
「既存システムをモダナイズすることと新しいデータの活用を、PostgreSQLならば別々に行うのではなく一緒に行えます。これは2025年の崖に新たな橋を架けることになるでしょう」と佐野氏は言う。