
新型コロナウイルスの感染拡大が多くの日本企業に影響を及ぼす中、業務遂行に特に支障をきたした部門の一つが経理部門である。3、4月という年度末から次年度の初めにぶつかったことで、2020年3月期決算で業績予想の開示が困難になる企業が相次いだ。先行き不透明感が続く中、今後のビジネス環境の変化にも適応容易な予実管理の仕組みを整備するにはどうするべきか。SaaSで計画ソリューションのプラットフォームを提供するAnaplanの中田氏に訊いた。
あらゆる計画業務をサポートするために生まれたAnaplan
――まず、会社概要と中田様のこれまでのご経歴からご紹介をいただけますか。
Anaplanは2006年に英国のヨークでMichael Gouldが創業した企業です。彼は2003年にCognos(現IBM)に買収されたAdaytum Softwareで、ビジネスプランニングツールの開発責任者を務めていた人物です。Cognosとの製品統合プロジェクトに従事した後、ゼロから最新テクノロジーを活用したビジネスプランニングのための全く新しいプラットフォームを開発するべく独立し、Anaplanを起業しました。2008年にプロトタイプが完成、2010年に第一号顧客を獲得し、現在は世界13カ国、1400社超の幅広い業種のお客様が利用中です。
現在は米国サンフランシスコに本社を置き、2018年10月にはニューヨーク証券取引所への上場を果たしました。日本法人設立は2016年2月で、私が第一号社員として入社し、第二号社員の大場(達生氏、ソリューションコンサルティングマネージャー)と共に二人で頑張って会社を大きくしてきました。日本では、三菱電機、パナソニック、オムロン、コニカミノルタなどの製造業を中心に導入が進んでいます。
Anaplanの社名は「Analytics + Planning」に由来していて、その名の通り、私たちのビジネスの主軸はプランニングとアナリティクスにあります(図1)。一つ目のプランニングのスコープは特定のドメインに限定されるものではありません。経理・財務の他、営業、サプライチェーン、人事、ITに至るまであらゆる計画業務に対応できるのがAnaplanの特徴です。もう一つのアナリティクスでは汎用的な分析ではなく、計画に関する分析の機能を提供しています。例えば、計画を作った後の実績との比較、プランAとBのどちらが良いかを比較するシミュレーションがAnaplan上で可能になります。

図1:財務計画ではない組織が行うあらゆる計画業務をサポートするAnaplan (出典:Anaplan)
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- この記事の著者
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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