事業継続性、接続性、資金の3つで中堅・中小企業を支援
Discoverでは中堅・中小規模企業向けの特別なオンラインイベントも設けられた。その基調講演「It’s a Brave New World: Recover and Build Your Next Chapter(素晴らしい新世界へ:回復と新たなステージへの移行)」では、中堅・中小企業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーTim Peters氏、HPE Aruba グローバル中堅・中小企業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーAmol Mitra氏、HPE Financial ServicesでEMEA(欧州・中東およびアフリカ)担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターPaul Sheeran氏、それに調査会社Aberdeenでリサーチディレクターを務めるJim Rapoza氏が、新型コロナを切り口に、中堅・中小企業が直面する課題とそれに対するHPEのソリューションを紹介した。
新型コロナは中堅・中小企業にとって深刻な打撃となった。Aberdeenの調査では、中堅・中小企業は大企業より準備ができていないことが明らかになったとRapoza氏、Peters氏も「これまで技術投資が遅れていた中堅・中小企業は、大きな中断を経験している」と述べる。
コロナショックを受け、多くの中堅・中小企業が技術への投資を検討しているようだ。Aberdeenの調査では、中堅・中小企業の55%が「新技術やアップグレードへの投資に制限を設けていない・設けているとしても最小限」と回答したという。投資分野としては、事業継続性維持のためのディザスタリカバリ(DR)、テレワークのためのVDIやリモートデスクトップサービスなどが多いそうだ。
HPEは顧客の事業継続性を支援するため、サーバー監視ソフトウェア「HPE iLO Advanced」を2020年末まで無料でパートナーと顧客に提供する施策を発表している。「ITインフラのモニタリングと管理が可能になり、新型コロナの後の“ニューノーマル”に向けた準備で重要な貢献になる」とPeters氏。
このような事業継続性「Continuity」に加え、「Connectivity」「Capital」の3つのCで具体的な支援を行う。ConnectivityについてArubaのMitra氏は、2019年に発表した小規模ビジネス向けの「HPE Aruba InstantOn」を紹介した。数分で安全なWiFi環境を設定できるもので、ネットワークの自己修復機能などのインテリジェンスも備える。7月に最新のスイッチを拡充しており、「様々なコネクティビティのニーズに応じる」と述べた。
Capitalでは、HPE Financial ServicesのSheeran氏が、「2020 Payment Relief Program」を紹介した。財務状況が厳しい顧客向けに合計20億ドルの融資を行うプログラムで、2020年の間は最小限を支払い、その後支払い金額を増やすなど調整ができる。
「予算に対するプレッシャーを解放し、顧客は準備や回復に必要な技術にアクセスできる」とSheeran氏。またHPEがアズ・ア・サービス戦略の基盤とする「HPE GreenLake」では、従量課金で技術を利用できる。「事業が好調なときは簡単に拡張できるが、収縮しなければならないときもある。柔軟性のある形で技術を購入することが中堅・中小企業には重要だ」とSheeran氏。
HPEが中堅・中小企業戦略で強調するのが“アウトサイド・イン”アプローチだ。 ArubaのMitra氏が「顧客がどのようにインフラとコネクトしているのかを知り、顧客のニーズを土台にしたソリューションを提供する」といえば、Peters氏も、「オンプレミスかクラウドかではなく、顧客にとって何が正しいかを考えている」と述べる。そこで、顧客と近い関係を構築しているパートナーは重要だと強調した。