企業のビジネス活動を支える資金の調達と運用を行う財務部門。日本では経理部門との違いが曖昧なケースも多いが、銀行融資やM&Aではリーダーとして経営を支える重要な組織である。この財務部門の業務高度化のニーズに応えるTMS(Treasury Management System)ソリューションのグローバルリーダーがキリバである。自身もKyribaユーザーとしての経験を持ち、現在は多くのグローバル企業の財務部門にアドバイスする下村真輝氏に、なぜ今キリバのSaaSが支持されるのかを訊いた。

キリバ・ジャパン株式会社 ディレクター、トレジャリーアドバイザリー 下村真輝氏
会計システムと銀行システムのハブになるKyriba
――最初にキリバのようなTMSソリューションが求められる背景を教えていただけますか。
財務部門が業務の高度化を目指す背景には、企業を取り巻く外部環境と内部環境の両方の変化が背景にあります(図1)。
「VUCAの時代」と言われるように、将来を正確に予測することが困難になる中、財務部門には、過去の数字を追いかけることだけに汲々とするのではなく、資金量を予測し、経営者の意思決定に資する情報をタイムリーに出せるようになることが求められています。今は多くの企業が資金管理を月次で行っていると思いますが、海外の子会社のものも含めて常に正確で最新のデータを把握できる仕組みが必要になるのです。

図1:財務部門の業務高度化ニーズの背景 出典:PwCあらた監査法人資料を基にキリバが作成
――手作業に依存している業務のやり方を改め、未来志向型の組織に生まれ変わらないといけないという話は経理部門だけでなく、財務部門にも言えるわけですね。続いてキリバのソリューションについて伺って行きたいのですが、会社概要からご紹介いただけますか。
キリバはグローバル企業の財務部門向けにTMS(Treasury Management System)と呼ばれるソリューションをSaaSで提供する会社です。会社設立は2000年。現在のお客様は約2400社で、日本で言えば東証一部上場企業を中心にグローバルにビジネスを展開している大企業が多くを占めます。日本市場に進出したのは2012年で、コニカミノルタ、ヤンマー、サントリー、オムロンを始め、2020年9月時点で70社以上が導入しています。
TMSを日本語にすると「財務管理システム」になりますが、経理ではなく、財務部門向けに銀行の口座残高を可視化し、資金繰りをサポートするものです。そして財務に特化していますが、スタンドアロンの製品ではなく、SAPやOracleのような会計システムと銀行システムと繋がるハブになる位置づけです(図2)。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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