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リアライズが語ったデータマネジメントを軸としたDX推進の心得

リアライズ 櫻井 崇氏 講演レポート

日本企業のDXで期待されるハードとソフトの融合価値

 ここで改めて、櫻井氏はデータの活用が求められている背景を、「企業が直面しているこれからの課題」として、人口減少にともない労働力人口が減少傾向にあるのにも関わらず、設備・機器がどんどん複雑になっていることを挙げた。スペシャリストとしての人材確保がますます難しくなる中で、企業には品質・コスト・納期に加えて、生産性や安全性、モラル、環境配慮まで向上させることが求められており、大変悩ましい問題となりつつある。特に日本は欧米に比べても生産性の低さが問題視されており、その向上が企業にも求められるのは必然ともいえるだろう。

 日本企業の生産性向上のために不可欠として近年声高に推進が叫ばれているのが、デジタル改革、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすものであり、その恩恵は多くの人が実感できるものとなりつつある。

 櫻井氏がDXの進行中の事例として紹介したのは、電気機器メーカーと認識されてきたソニーだ。グループ内では、エンターテインメントやゲーム、スマートフォンゲームなどのコンテンツを扱い、アイドルグループ「乃木坂46」や「NiziU」、人気スマホゲーム「Fate/Grand Order」やアニメ「鬼滅の刃」、新型ゲーム機「PlayStation 5」など、2020年にヒットしたタイトルが並ぶ。しかし、そんなソニーも2012年から2015年3月期までは営業利益が伸びないという”茨の道”を歩んできた。それが「聖域なき改革を断行していく」として、優良物件の売却やリストラなどを行い、コンテンツメーカーへと大きな変貌を遂げた。電機大手の中でも、売上の半分近くがソフトというのはソニーだけであり、2020年も新型コロナウイルスに他の大手企業が苦しむのを横目に好調な利益推移を見せている。そのカギとなったのが、ソフトの重要性について認識し、ハードとの連動性によって価値を高めたことだ。

 経済産業省でもDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。シンプルに言えば、データやデジタル技術の活用を軸に、ビジネスに関わるすべての事象に変革を起こすことだ。

 とはいえ、企業の変革は一朝一夕にできるものではない。とりわけ新たな製品やサービス、ビシネスモデルを生み出すことは時間もかかり、そうそう簡単なことではない。しかし、プロセスを再構築して生産性の向上・コスト削減・時間短縮をもたらす、または業務そのものを見直して働き方に変革をもたらすといったことならば、徐々にでも始められるのではないか。櫻井氏の実感としてもそうした取り組みを進めている企業が増えつつあるという。

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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