データインサイト&カスタマージャーニー
先ごろ発表されたアドビがおこなっているデジタル経済指標「Digital Economy Index」では、2021年末に世界のeコマース市場は通期で4.2兆ドルを超えると予測している。日本でも、2021年第1四半期のeコマース取引高は前年同期比で15%増となっている。しかし「マーケターにとって頭の痛い問題は、サードパーティCookie が制限されていくことで、お客様とのコミュニケーションになってしまうことだ」というのは、アドビのプロダクトエバンジェリスト 安西敬介氏だ。
プライバシー重視のトレンドはCookie制限だけではなく、欧州のGDPR、米国のCCPA、さらに日本の改正個人情報保護法など枚挙にいとまがない。こうした中で企業にとって重要なことは「1stパーティデータ(自社が集め保有するデータ)を充実させること」であり「よりお客様を尊重してデータを扱うこと」だと安西氏は言う。
今回のアドビのCXM(顧客体験管理)の進化はこの課題に応えるものだという。Adobe Experience Cloudの傘下のアプリケーション製品は「Content & Commerce」「Data Insights & Audiences」「Customer Journey」「Marketing Workflow」の4つのカテゴリーに分類され、Adobe Experience Platformが「データの下支え」となっている。
今回のプラットフォームのアップデートとして強化されたポイントは以下の4つとなる。
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Collect(収集):現在Web サイトにマーケティング上のタグが埋め込まれ複雑化し、マーケター自身が管理することも難しい。この問題を解消するためにアドビは、昨年タグマネージャー機能である「Adobe Platform Launch」と新しいSDK を発表し、 Adobe Experience Cloud の様々な製品へのデータ連携をLaunch内でコントロールできるようにした。さらに今回、外部のサードパーティツールへもLaunch側から連携が可能になった。これにより埋め込まれているタグのすべてをLaunchで管理していくことが可能になる。
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Organize(整理):多くのデータソースを繋いだり、3rdパーティCookie の制限などにより断片化されてしまう顧客データを繋ぎ合わせることで生じる問題を解決するためのデータ管理機能が強化された。 Experience Data Model(XDM)と呼ばれるスキーマを利用し、顧客データを管理する。Webのデータ、CRM のデータなど様々なものを構造化し、属性行動、セグメントといった単位で管理を容易にする。
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Govern(ガバナンス):顧客のデータの利用目的や利用範囲を管理することが求められるニーズを受け、XDMでデータを管理することでデータ項目ごとにラベリングを行い、ポリシーの定義や適用利用時にシステム的に制御していくことを可能にする。
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Enrich(強化):今回発表された新機能が「セグメントマッチ」。データガバナンスのフレームワークを適用しながら、セキュアに企業間での2ndパーティーデータの連携を行えるようにする。これにより、自社だけでは取得できなかった顧客情報属性の補完を企業間で相互に行っていくことが可能になる。