日本と海外における「データ」に対する認識の違い
オープニングセッションは「企業のデータ活用と SaaS利用の合理的な意義」をテーマに、primeNumberの代表取締役CEOである田邊雄樹氏が聞き手として進行を務める。
今回のゲストである喜多羅株式会社のChief Evangelist 喜多羅滋夫氏は、P&Gおよびフィリップ・モリスで20年以上にわたりデータ活用やマーケティング、営業領域等のIT支援に従事。2013年からは日清食品グループのCIOとしてグループ全体の情報戦略、グローバル展開、基盤の刷新、そしてDXに取り組んだ経歴をもつ。現在は、自身の名前を冠する企業を立ち上げ、ITとイノベーションを活用した事業改革支援とDX人材育成に取り組んでいる。
はじめに田邊氏は、「企業のデータ活用」という言葉が一人歩きしており、そもそもの目的である「売り上げを増やして支出を減らす、企業の活動そのものの合理性を担保するために行う活動」という意義が薄れていると指摘。本来データですべきことには、『情報通信白書』(総務省)をみてみると「参照」「分析」「自動化」の3つがあるという。そして、日本はアメリカやドイツに比べてデータ活用が遅れているという資料を示した。
これに対して喜多羅氏は、「外資系企業の多くは、意思決定においてファクトやエビデンスを重視します。企業の活動や施策の正当性を、客観性をもって説明できないと前へ進めません。その根拠こそがデータなのです」と述べる。同氏が日本の企業に転職して感じたことは、全体的な戦略あるいは組織としての方針をより重視しているということ。あくまでもデータはそれをサポートするものと捉えており、若干ニュアンスが異なるという。