トップ写真:日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CIO(グループ情報責任者) 成田敏博氏/富士通 柴崎辰彦氏
これまでの記事
多様な経験が活きるデジタル変革
現場のデジタル化に向け、システム開発の内製化を推進してきた成田氏は、日清食品ホールディングスに入社するまで多様な経験を積んできた。コンサルティング会社のアクセンチュアに新卒で入社し、その後、インターネット企業のDeNAやメルカリに転身したことが自分の強みだという。
「インターネット企業で身につけたもののひとつが、アジャイルな仕事の進め方です。プロセスを一つひとつ踏んでいくというよりは、効率的に端折って進めることを学び、現在もこのやり方を踏襲しています」(成田氏)
DeNAやメルカリといったデジタルネイティブ企業では、現場のITリテラシーが高く、知識も豊富だ。そうした環境の中で、IT部門にはプレッシャーがあった。世の中の動向をキャッチアップし、情報をインプットしていくという働き方は、DeNAやメルカリの時代に身についたスタイルだという。
「メルカリは会社の歴史が短いこともあり、昔からずっと使っているシステムは無く、利用するシステムはすべてSaaSでした。SaaSはシステムの連携を重視しているので、状況に応じて構成をシステムの拡張やデータ共有に適したプラットフォームでした」(成田氏)
成田氏がシステムの内製化において、kintoneやPowerAppsを選定したのも、「連携」と「拡張性」を重視したからだ。前職までの経験や取り組みを日清食品グループに適用し、どのように改善していけるかを考えたと言う。
2030年に向けた5つの施策とは
全社でデジタル変革(DX)を進めようとした時に、トップのメッセージが何よりも重要だったと成田氏は言う。
「トップダウンで意思決定できる会社の方がDXを進めやすいと感じています。日清食品グループの場合は、CEO(安藤宏基氏)とCOO(安藤徳隆氏)の2人が『今ではなく、この先』を常に見ていて、従来のやり方に全く拘っていません。こうしたトップのスタンスが、新しい事に取り組もうという社内の雰囲気を醸成してくれています」(成田氏)
その中で、コロナ禍やウクライナ情勢など経営環境の変化に対応しつつ、2030年に向けた中長期成長戦略の目標達成に寄与すべく掲げたものが、5つの施策だ。最後のデータドリブン経営はDXの本丸だ。