ネットワークを担う、SASEと統合した「次世代SD-WAN」
続いてPrisma SASEの主要コンポーネントであり、ネットワークを担うのがSASEと統合した「次世代SD-WAN」だ。これもPrisma Accessに含まれる。一般的にSD-WANを導入するなら、通信先を識別して適切にブレイクアウトする機能が求められている。たとえばZoomやMicrosoft Teamsなら直接インターネットへ、Microsoft 365などセキュリティ検査を通したいSaaSはPrisma Accessを通し、基幹システムやレガシーなアプリケーションはMPLS(Multi-Protocol Label Switching)などSLA回線へ、という具合だ。接続先の特性に合わせて回線や機能を分けていくことができる。
快適なハイブリッドワークを実現するソリューション「ADEM」
Prisma SASEの主要コンポーネントでデジタル体験管理を実現するのが「ADEM」である。近年ではリモートワークが普及し「もはや仕事は活動であり、場所ではない」と考える人も増えてきている。リモートワークができない企業は就職先として忌避されることもある。
日本ではどうか。同社が2023年2月に開催した「Palo Alto Networks Japan SASE Day 2023」で参加者にアンケートしたところ、「在宅勤務にともなうリモートアクセスの今後の需要について」という設問では「増えていく」との回答は半数弱、「変わらない」は3割弱、「減る」はわずか3%、残りは「わからない」としている。
イベントの趣旨からSASEに関心がある人が多いとはいえ、「リモートアクセスは増える」または「現状維持」が約3/4を占めた。日本においても企業はリモートワークという選択肢を提供することが求められていくのは確実だろう。
そうした中、リモートワークでユーザーが快適にネットワークを使えることは従業員の生産性に関わる重要な課題だ。オフィス内ならネットワークの状態は監視しやすいものの、従業員の自宅やカフェのネットワークまでは関知しきれないのが、多くの組織の実情ではないだろうか。
そうした状況下で、Prisma SASEに含まれるADEMは快適なハイブリッドワークを実現するためのソリューションだ。多くの場合、これだけ単体で導入することはあまりなく、SASEで全体を統合する時に「これも」と導入するケースが増えてきている。Prisma SASEと一緒であればそのまま利用できる。専用のエージェントやアプリケーションは不要だ。
ADEMはエンドツーエンドの可視性を提供する。たとえばエンドポイント(ユーザーのパソコン)のCPUやメモリが上限を迎えていると確認できるため、サポートは「ブラウザのタブ、開きすぎでは?」だとか「動画編集しています?」とアドバイスできる。
あるいは自宅Wi-Fiの送信レイテンシーが悪いなら「Wi-Fiルーターやパソコンの置き場所を調整してください」、もしくは通信経路にあるISPでパケットのドロップが多く発生しているなら「スマホからテザリングを試してみてください」など、リモートワークでの不具合を解決するのに役立つ。
なおPrisma Accessの可用性(アップタイム)は99.999%、セキュリティプロセスの平均値が最速で10ms、Microsoft 365や主要SaaSとの遅延でもSLAをもっており、和田氏は「業界ベストクラスのユーザーエクスペリエンスです」と話す。