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【物流2024年問題】三井不動産、物流DXで最大出荷キャパシティ倍増、人件費20%削減

 「物流の2024年問題」──2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制の適用開始を前に、物流業界は対応を急いでいる。物流センターを運営する事業者はどんなアプローチで課題解決に取り組んでいるのか。2023年6月5日、三井不動産は自社物流センターのDXを紹介。搬出入フローのソリューション、ロボットによるピッキングの半自動化や自動梱包などの導入の効果を発表した。

2012年からの三井不動産の物流問題への取り組み

三井不動産株式会社 ロジスティクス本部 イノベーション推進室長 大間知俊彦氏<br />三井不動産株式会社 商業施設本部 &mall事業室長 亀井俊介氏
(左)三井不動産株式会社 ロジスティクス本部 イノベーション推進室長 大間知俊彦氏
三井不動産株式会社 商業施設本部 &mall事業室長 亀井俊介氏

 日本の物流業界が放置してきた様々な構造的問題の解決が急務になってきた。「物流の2024年問題」である。物流の2024年問題とは、 2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働時間の年間上限が960時間になる影響を受け、荷主がこれまで同様の輸送条件でモノを運べなくなる社会問題を指す。上限規制の適用を前に、輸送事業者は運賃の値上げやドライバーの増員で対応しようとしているものの、折からの人手不足が解決を難しくしている。

 「物流2024年問題」は、荷主や輸送事業者だけの課題ではない。これまでの三井不動産は、総合不動産デベロッパーとして、オフィスビル、商業施設、住宅を中心に幅広い事業活動を展開してきた。これまでの事業活動で蓄積してきた知見を基に、物流施設「MFLP」の不動産ビジネスに乗り出したのが2012年のことだ。2023年現在、同社は約60拠点の物流施設を運営しており、入居しているテナントの顧客数も約120社となった。

 参入以来、三井不動産の物流事業は順調に成長しているが、設備の運営にとどまらず、顧客のビジネス課題の解決と事業成長に貢献しようと着目したのがDXの観点である。最初に登壇した大間知俊彦氏は、こう語る。

 「三井不動産のような大規模倉庫の開発から運営を担う総合不動産デベロッパーにとっても、物流2024年問題は重要な課題と認識しています。物流変革のプラットフォーマーになることで、一連の問題解決に貢献したい と考えました」(大間知氏)

 ソリューションの方向性は大きく2つある。1つがドローンや自動倉庫のような最先端のデジタルソリューションを探索すること、もう1つが最先端ソリューションを導入したショールーム「MFLP ICT LABO 2.0」の運営を通じて、顧客に問題解決の方向性を理解してもらうことだ。

 これらの取り組みは、2018年に三井不動産が出資をして設立したコンサルティングを提供するためのグループ会社「MFロジソリューションズ」、約120社のテナント企業が集まる「ロジイノベーションコミュニティ」、そしてソリューションを提供する約50社のパートナーと共同で進めている。一連の取り組みをよりわかりやすい形で示すため、2023年4月に立ち上げたプログラムが「MFLP &LOGI Solution」である。MFLP &LOGI Solutionでは、物流戦略の立案から物流拠点の最適化、倉庫内の効率化、配送効率の改善に至るまで様々なテーマを扱う。

 たとえば、大阪のMFLPに入居している顧客の中に、カーテン、壁紙、床材などを扱うサンゲツがある。同社はインテリア商品を扱う会社の中でも業界最大手として知られる。サンゲツは、三井不動産およびMFロジソリューションズの支援協力を得て、MFLP大阪Ⅰに新しい物流拠点を構築した。2021年1月、サンゲツはMFLP大阪Ⅰ内の「関西ロジスティクスセンター」に、約12,000の商品在庫を集積させ、西日本在庫拠点としての機能を整備した。さらに2022年にGTP(Goods To Person)オペレーション最適化のプロジェクトを立ち上げ、全体効率の向上に取り組んでいる。

三井不動産ロジスティクスパーク船橋

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大きく変わった物流センターにおける搬出入フロー

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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