網羅的なデータストアで蓄積レイヤーをカバー
“生成AI”時代において、データの重要性はかつてないほど高まっている。生成AIで利用できる形で企業データが管理されていなければ、期待されるだけの成果を上げることは難しい。そうした状況下、IBMは長年Db2を始めとする堅牢なデータベース製品、買収などで強化したデータ分析プラットフォームやアナリティクス・ツールをオンプレミス環境向けに展開することで、企業のデータ活用基盤を支えてきた。
クラウド時代へと移り変わるとともに、これらの製品はIBM Cloudに移行。Red Hat買収以降は「OpenShift」に対応させることで、ベンダーロックインされることなく製品を動かせる、ハイブリッド/マルチクラウド戦略へと転換してきた。しかし、IBM Cloudは、AWSやAzureなどと比べると影は薄く、生成AIという新たなパラダイムシフトに対応できているようには見えない。
企業が生成AIをビジネスに組み込む中、IBMはどのようなソリューションを提供できるのか。このとき鍵となるのが、長年にわたり企業データを扱ってきた豊富な経験とノウハウ、それを支える技術力だ。
そもそも企業データの活用には、複数のレイヤーが存在する。まず重要になるのは、Db2などが担ってきた“データを蓄積する”レイヤーだ。このレイヤーでは、主にリレーショナル・データベースが基幹系システムを支えている。
その上で、基幹系システムのデータを活用するために、データウェアハウスやデータマートといったレイヤーが存在する。IBMでは、「IBM Netezza Performance Server」などを提供すると、これをSaaS化した「IBM Cloud Pak for Data System」にも投資を続けている状況だ。
加えて、IBMが注力するのはレイクハウスだ。「コスト最適化を目指すデータストア、生成AIで注目を集めるベクトルデータベースを活用するためにもレイクハウスに投資することで、生成AIの活用を支えています」と四元氏は語る。
IBMは、実績のある基幹系システムやデータウェアハウスから、生成AI向けのデータストアまで、網羅的な製品群であらゆるニーズに応えていく狙いだ。