1/1/1モデルなど、独自の社会貢献活動の仕組みで有名なSalesforce.com。彼らがそうした活動を行う背景はどのようなものなのだろうか? Salesforce.com Foundation チーフ・サービス・オフィサー兼エグゼクティブ・ディレクターのスザンヌ・ディビアンカ氏に話を聞いた。
成功してからではなく創業時から社会貢献を企業活動の1つの柱に
Salesforce.comが、独自の社会貢献活動の仕組みを持っていることはご存じだろうか。創業当初より1/1/1モデル(就業時間の1%、株式の1%、製品の1%)により、コミュニティや非営利活動の支援に取り組んでいるのだ。
スザンヌ・ディビアンカ氏は、その社会貢献活動を行う組織であるSalesforce.com Foundationのチーフ・サービス・オフィサー兼エグゼクティブ・ディレクターだ。「10年前にこの職に着いたとき、Salesforce.comには社員が30名しかいなかった」―会社の成長と共に、同氏の仕事の内容も大きく拡大してきたとディビアンカ氏は言う。

いまや世界中のSalesforce.comのオフィスで社会貢献活動が行われており、年間で4000人が延べ7万5000時間もの時間を社会貢献に費やしている。これだけの規模の活動が行えるのは、年間で6日間の有給休暇が社会貢献活動用に用意されていることも大きく影響しているのだろう。
同社の社会貢献活動は、本社で方針や対象を決め、それを各国で徹底するというものではない。各地域の社員が興味のあることを優先して、それぞれの地域で100%の社員が参加できるものを選択するようにしている。
日本企業などでは、社会貢献を行う専門組織を作り、そこが活動を決めそこだけが社会貢献活動に注力しているように見えるところもあるが、社員の興味のあることを選択することで、社員の多くが参加するように自然と促すことができているのだ。
当然ながらSalesforce.comの社会貢献活動はボランティアなので、活動を強制することはない。ただし、各組織のマネージャなどが率先して活動に参加するので、自然と組織のメンバー社員の参加も活発化するのだ。
「地域によってばらつきはありますが、日本は極めて熱心に社会貢献の活動を行っています」。唯一の課題は、役員などの上位の管理職と一般の社員の参加が多い一方で、中間離職の人々が忙しすぎてなかなか参加できないことだという。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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