AIの進化にも期待、より“使いやすい”行政サービスを(横浜市 福田次郎氏)
2024年を振り返って
2024年は、横浜市のデジタル変革を推進する重要な年となりました。行政手続きのオンライン化が大きく進展し、市民の利便性が向上しました。特に、子育て応援サイト・アプリ「パマトコ」のリリースにより、電子母子手帳や手続き、給付金の申請、イベントや施設の情報検索がスマートフォンで可能となり、子育て世帯から高い評価を得ています。
また、ローコードプラットフォームを活用した地域子育て支援拠点システムの構築や、市民利用施設予約、図書館蔵書検索のスマートフォン対応も進めました。市民の利便性の向上と業務の効率化の両面に大きく寄与しました。
さらに、新たな予算・財務システムや人事給与システムの導入により、予算編成や人的資源マネジメントのデジタル化も進み、データに基づく行政経営をスタートさせることができました。
このように、多くのデジタルプロジェクトが進展し、市民サービスの向上と業務効率化に大きく貢献した年でした。
横浜市
最高情報統括責任者補佐監(CIO補佐監)
最高情報セキュリティ責任者補佐監(CISO補佐監)
最高データ統括責任者補佐監(CDO補佐監)
福田次郎氏
1989年 三菱総合研究所入所。建設、都市、交通、通信、介護、医療、インターネット、データセンターなどの調査・新規ビジネス企画のコンサルティングを行う。
2015年より横浜市最高情報統括責任者(CIO)補佐監に就任。最高情報セキュリティ責任者(CISO)補佐監、最高データ統括責任者(CDO)補佐監を兼任。新市庁舎整備、各種システム企画、IT調達統制、セキュリティ、デジタル施策、データ活用を担当。
2025年の展望
2025年は、将来の労働力不足に立ち向かうための重要な年と考えています。定型業務をワークフローシステムなどにより自動化し、職員が市民のためにより価値のある業務に集中できる環境を整えたいです。
AIの進化にも期待しています。自律的に作業できるAIエージェントの実用化がされれば、24時間365日の市民サービス対応や業務の自動化が可能になります。
さらに、オンライン申請や手続きの拡大、市民ポータルによるパーソナライズされた情報提供など、市民の皆様により便利で使いやすい行政サービスを提供することも重要です。
また、横浜をスマートで住みやすく、魅力的な街にしたいと考えています。官民の様々なサービスをシームレスに利用できるように、各機関のシステムやデータを連携する情報の連携基盤が必要です。
こうした取り組みを推進して、持続可能でスマートな都市「横浜」を、市民の皆様と共に創り上げていく年にしたいです。
さらに盤石なデータ活用基盤へ、“AI Ready”に向け準備進める(損害保険ジャパン 村上明子氏)
2024年を振り返って
保険会社として商品開発等にデータ活用は必須でしたが、経営や業務遂行に関してデータを使っていくということが十分にできていませんでした。2024年はデータによる経営、特に収支の改善と品質の向上に使っていくという目標の第一歩を踏み出した年となりました。
経営や品質改善の判断に客観的な指標であるデータを活用していくことが、より良い会社を作るためにも必須です。今までできていなかったデータによる判断をまずはできるようにする環境、そしてそれを活用できる人材を育成するための枠組みを実行できたのではないかと思います。
損害保険ジャパン
執行役員Chief Data Officer(CDaO)兼データドリブン経営推進部長
村上明子氏
1999年日本アイ・ビー・エム入社。2021年に損保ジャパンに転職し、執行役員Chief Digital Officerを経て、2024年4月より執行役員CDaOに就任。
損害保険におけるデータ活用やデータガバナンスを推進している。政府に設立されたAIセーフティ・インスティテュートの所長も兼任。
2025年の展望
2024年に始めた会社としてのデータ活用の基盤を、さらに盤石なものにしていきたいです。データの環境としての基盤だけではなく、それを活用していく文化、リテラシーがなくなることがいちばんの懸念であり、データを活用することが「当たり前」である会社に育てることが必要であると考えています。
さらに、データをAI Ready(AIに向けて準備された状態)にしておくことで、世の中で進んでいくAIの技術を抵抗なく会社に取り込んでいける状態にしたいです。また最終的にはデータの活用自体もAIでサポートできるような仕組みを考えていこうとしており、2025年はその準備の年であると言えます。