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24時間運用のMSP拠点をあえて「リゾート地」に スカイ365が挑む、脱コスト削減のオフショア戦略

初の海外拠点、「日本品質」をベトナム・ニャチャンで実現へ

「日本品質」をベトナムで再現する 立ち上げの工夫は?

 スカイ365は、2014年の設立以来、AWSやAzure、Google Cloudといったマルチクラウド環境における、24時間365日の運用監視サービスを専業としてきた。同社の提供するMSPサービスは、クラウド1台あたりの金額で提供される「標準メニュー(シルバー、ゴールド、プラチナ)」を主体とし、運用ノウハウは「SkyCoodle(スカイクードル)」という独自のクラウドオペレーションサービスに集約することで高いレベルを維持している。

 このSkyCoodleを通じてオペレーションの手順を標準化しており、MSPサービスとしての安定運用を実現。高度な技術をもたない人材でも運用できる、独自のノウハウや手法が十分に蓄積されている。

 スカイ365ベトナムセンターの立ち上げにおいては、日本語を話せるベトナム人のエンジニアに対して、本社・札幌で半年間のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を実施。前述した運用ノウハウを習得することで、日本国内と同等の品質をニャチャンでも実現できるようにした。

 同センター開設時の体制は、OJTを受けた3名のベトナム人エンジニアと日本から赴任するベトナムセンター長の栢栄治氏、リーダーの小藏風陽氏の5名。ベトナム人エンジニアは、全員が日本での生活経験があり、日本語も流ちょうだ。たとえば、グェン・チュン・グェン氏は、ベトナムでIT系の学部を卒業後、日本で3年間実習生として従事。帰国後は、工場で生産管理や通訳として働いていたが、残念ながら学んだIT経験を生かす仕事はできなかった。そこで、地元ニャチャンに拠点があり、スカイ365の現地パートナー企業でもあるViet Nam Hi-Tech Engineering Company(VHEC)社に入社。VHECからのアサインという形で、スカイ365のメンバーとなっている。ニャチャンでは、ITの経験を生かした仕事が少ないため、スカイ365で働けることは大きなチャンスだとした。

スカイ365ベトナムセンター グェン・チュン・グェン氏
スカイ365ベトナムセンター グェン・チュン・グェン氏

 また、チャン・ドック・フィ氏は、高校卒業後に日本に留学して国際ビジネス科で5年間学んだ。留学中は日本でさまざまなアルバイトを経験し、ITパスポートも取得。地元のニャチャンに帰国後、VHEC経由でベトナムセンターの立ち上げに参画している。「ITの知識は勉強中だが、スカイ365での勤務は大きなチャンスだ」と話す。

スカイ365ベトナムセンター チャンドック・フィ氏
スカイ365ベトナムセンター チャン・ドック・フィ氏

 そして、ファム・ティ・ビック・ゴック氏は、ベトナムで4年間日本語を学んだ後に、日本で1年間ホテルでのフロント業務に従事。ゴック氏は、日本人の勤勉さや仕事への姿勢には「憧れがある」と述べる。一方、ベトナムにも同国ならではの良さがあるため、それら両方を発揮したいという。そんなゴック氏は、ITスキルはなかったものの半年間のOJTを通して、運用監視などの基本的なノウハウを身に付けた。

スカイ365ベトナムセンター ファム・ティ・ビック・ゴック氏
スカイ365ベトナムセンター ファム・ティ・ビック・ゴック氏

 彼ら3名は、地元ニャチャンで日本のIT企業で働けることが大きなチャンスだと捉えている。しかし、それだけではない。スカイ365での経験をもって、地元の発展に寄与したいと真剣に考えている。

 現在のニャチャンには、観光産業の振興などのために韓国などから投資が集まっているが、国外からの投資は地元の資源を消費する形でのビジネスとなりがちだ。一方、ITビジネスが立ち上がれば、ベトナムのリソースと日本の技術ノウハウをあわせ、新たな価値を生み出せるだろう。地元にITを根付かせることで、ゴック氏は「将来的には、地元ニャチャンの海産物を世界に届けるようなビジネスをITの力を使い、大きく発展させたい」と夢を語る。

 ニャチャンで働きはじめた小藏風陽氏は、ベトナム人のメンバーは勤勉で、真剣にニャチャンの将来のことを考えているという。センター長の栢栄治氏も、彼らの仕事に対するモチベーションの高さを評価する。

(左から)株式会社スカイ365 管理部 海外準備室長 栢栄治氏、同社 ベトナムセンター 小藏風陽氏
(左から)株式会社スカイ365 ベトナムセンター長 栢栄治氏
同社 ベトナムセンター 小藏風陽氏

 たとえば、AWSの資格試験にベトナム語の設定はないが、彼らは日本語でチャレンジして合格している。そのためには技術的な知識の習得はもちろん、それを日本語で理解する必要もある。その努力を惜しまない姿勢を目の当たりにしているのだ。「彼らは、ニャチャンでIT人材の先駆けになろうとしています。そんな彼らには、ITの世界でステップアップする大きな余地があります」と栢氏は話す。

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「AIOps×BPO」で描く未来──新たなモデルケースの創出となるか

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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