仮想化導入の目的、一番はコスト削減
仮想化は、ユーザーに確実に浸透しつつある。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が4月に発表した「企業IT動向調査2010」では、サーバー仮想化を実施済みの企業が31%、検討中の企業が34%と、全体で65%もの企業が仮想化について前向きに取り組んでいることが報告されている。また海外のCIOが重要と考える技術の1位は仮想化であり、2位のクラウド・コンピューティングを上回っていることが、今年1月に米調査会社のガートナーからも発表された。
そもそも仮想化とは何か? 仮想化とは、物理的なハードウェアとその上で動作するソフトウェアを、仮想化レイヤによって切り離すことだ(図1)。こうすることで、ソフトウェアはハードウェアから自由になる。サーバー用途の仮想化ソフトウェアとしては、物理サーバー上に直接インストールする「ハイパーバイザ」と呼ばれるタイプを使う。
例を挙げよう。今まで、物理的なハードウェアとしてのサーバーと、そこにインストールされたOSやプリケーションとは固く結びついていた。例えば、あるサーバーにインストールされたOS とアプリケーションをフルバックアップしたとする。そのバックアップを同じサーバーへリストアすれば、元の通りにOSやアプリケーションが動き出すはずだ。しかし、別のサーバーへリストアしたとしたら動作する保証はない。
しかし、サーバーに「ハイパーバイザ」と呼ばれる仮想化ソフトウェアを導入し、サーバーとOS を切り離す。すると、異なる機種のサーバーでも、ハードウェア構成が少々異なっていようとも、同じハイパーバイザを導入したサーバーならば、どんなサーバーでもリストアが可能で問題なく動き出す。具体的には、ハイパーバイザによって、どんな物理サーバー構成であってもその上に440BXチップセット、AMDのNIC、LSI Logic のSCSI、SVGA-II ディスプレイアダプタという構成の仮想サーバーが生成されるのだ(VMware ESXの例、必ずしもこの構成でない場合もある)。
このように、仮想化とはハードウェア環境や構成にしばられることなく、ソフトウェアを柔軟に動作させることのできる環境を用意することができる仕組みである。