米国よりも先行している電子書籍端末のビジネス化
今年に入って急に電子書籍への関心が高まっている。昨秋AmazonがKindleを日本でもサービスしたのに続き、春にAppleがiPadを発売したことが契機となったのか。総務省・経済産業省・文部科学省が3省合同の研究会を立ち上げ、海外で電子書籍ビジネスを展開しているSONYもKDDIや凸版との企画会社設立を発表した。
しばしば電子書籍の展開が米国と比べて遅れていると評される日本だが、電子書籍端末のビジネス化は米国よりも先行している。NECが1993年にモノクロ液晶とフロッピーディスクを使ったDB-P1を発表したのが先駆で、その後2004年にはSONYがLIBRIe、パナソニック・東芝がシグマブックを発表している。
いずれもKindleと同様に電子ペーパーを採用している。ところが市場は立ち上がらなかった。購入のための操作が煩雑だった他、思うようにコンテンツが集まらなかったからだ。電子書籍端末が苦戦する傍らで携帯電話向けコミックの市場が急激に拡大し、電子書籍全体が2008年時点で464億円のうち携帯向けが402億円を占め、米国の1.31億ドル(推定)よりも大きな市場を形成した。とはいえ出版市場の約1.9兆円に占める割合は2%ほどに過ぎない。