「Mythos」提供を追い風にセキュリティ環境を棚卸せよ──CISO向け「ゼロトラスト負債」返済公式
後編:公式に当てはめて、自社のゼロトラスト負債残高を算出しよう
返済計画 全社一斉はやめて「1本の経路」から
最後に、返済の順序を説明します。全社一斉の返済は、全社一斉の導入と同じ理由で必ず頓挫します。当方がおすすめするのは、24ヵ月・3フェーズの構成です。
Phase 1(0〜6ヵ月)基盤:最初の一手は「1本の経路」
重要業務×重要データ×主要委託先が交わるアクセス経路をひとつだけ選び、そこに限って説明可能アクセス比率100%を達成します。人・端末・SaaS・権限・例外・承認者・期限を棚卸しし、外部公開面(VPNなど)の縮退にも着手。前ページ最後で説明した3つのKPIのベースラインを取ります。
Phase 2(6〜12ヵ月)拡張:最大の借金である東西通信を返す
アプリケーション単位のセグメンテーションで、内部通信もセッション単位で検証・認可する状態へ移します。NIST SP 800-207の原則「すべての通信を保護する」ことへの適合が、返済の本丸です。いきなり遮断せず通信を可視化・学習させ、業務要件が判明したものから順にポリシーを定義する。委託先・SIer接続の契約根拠も並行して棚卸しをしましょう。日本企業の借金の相当部分は、サプライチェーンの契約構造に埋め込まれています。
Phase 3(12〜24ヵ月)最適化:返済を「仕組み」に変える
すべての例外に期限・承認者・業務根拠を付けて、期限を過ぎたら自動失効させます。四半期の残高レビューを経営会議の定例に組み込み、新規システム導入時の「負債計上審査」を制度にする。目指す地点は、AIやツールが止まった日にも、組織が「誰が・何に・なぜ・いつまでに」行うのか自分の口で説明できる状態です。
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髙岡 隆佳(タカオカ タカヨシ)
セキュリティ業界で25年以上、250社を超える実装現場に携わってきている。DBSCではワーキンググループリーダーとして、経済産業省の参考資料となったデータベース暗号化ガイドラインや内部不正対策ガイドラインを執筆している。現在はCSAでの活動を通じて「真のゼロトラスト実装」を提唱し、「ゼロトラスト負債...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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