SAS Institute―BIツール市場の変化の中において、独立を保っている数少ない企業のひとつだ。専業ベンダーは、今回のBI/DWHブームをどのようにとらえているのだろうか。
BIではなくBAにこだわるSAS
データウェアハウスに特化した製品ベンダーの多くが、相次いで大手ITベンダーに買収された。その結果、再びデータウェアハウスというものに注目が集まり、そこに新たなアプライアンスと呼ばれる製品も登場しデータウェアハウスの市場は活性化している。
一方でその少し前から、BI(Business Intelligence)ツールの専業ベンダーの多くも、いまや大手ベンダーに買収されてしまった。BusinessObjectsはSAPに、HyperionはOracleに、Cognosおよび統計解析ツールとして有名だったSPSSはIBMに買収され、それぞれのベンダーからそれぞれのベンダー製品としてツールが提供されている。
そういったBIツール市場の変化の中で、独立を保っているのはいまやSASかMicroStrategyくらいだろうか。SASはBIツールというよりは、むしろ統計解析などのソリューションでも有名。さらには、ETLからデータベースに至るフルスタックの製品を持っている。

「BI、データウェアハウスに関わるフルスタックの製品が揃っていて、それらが1つのアーキテクチャで提供されていることがSASの強みです」と、SAS Institute Japan ビジネス開発本部 プラットフォームグループ部長の芝 裕一氏は言う。
これに加えて、変化の激しいこの市場でSASが独立を維持しているもう1つの理由には、彼らがBIではなくBA(Business Analytics)に注力しているからということを挙げられるだろう。
SASの定義では、BIは過去のデータを集計してこれまでの実績を見えるようにするものであり、その域を超え情報を分析して未来を予測し、いわゆるマイニングを行うレベルまで実施するのがBAだ。この情報の分析に対するニーズはいま、市場で確実に高まっている。
芝氏によれば、「ここ最近は、BAのセミナーを開催すると以前よりも確実に参加者が増えている」という。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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