最新の手法/機能を取り込んで運用プロセスを改善すべし
従来からの慣習にこだわった運用の仕方が、パフォーマンス・チューニングの妨げとなることもある。
「最近は減ったが、以前はシステムにかかる負荷を気にして、データベースの稼働情報を取らないお客様が多かった。稼働情報が何も残っていないと、何が原因で遅くなったのかがわからず、"打つ手なし"となってしまう」(開發氏)。
稼働情報の記録は、データベース・チューニングの大前提だ。もちろん、やみくもに情報を取得すると、そのことが性能に悪影響を与えるので、どういった情報をどのタイミングで取るのかを事前に精査しておかなければならない。そして、取得する情報を決めたら、Oracle Database 10gで追加された「Automatic Workload Repository」などの機能を使って情報を収集し、それを「Oracle Enterprise Manager」で確認/分析すればよい。
オラクルエンジニア通信:「Oracle Enterprise Manager for Database 技術資料」
オラクルエンジニア通信:「オラクルコンサルタントが語る 統計情報管理の真髄 Part1」|「Part2」|「Part3」「Part4」
またもう1つ、中島氏と開發氏が強調するのが、多くのユーザーがOracle Databaseの新機能を十分に使いこなしていないということだ。特にOracle Database 11gでは多くの新機能が追加され、パフォーマンス・チューニングが効率的かつ容易に行えるようになっている。それらの新機能を自社の運用プロセスに組み込むことで、これまでよりも効率的な運用を行い、パフォーマンス・チューニングの作業を円滑にし、ひいてはITの投資対効果を高められるのである。今後データベースのバージョンアップを行う際には、ぜひ新機能の活用を前提にした運用プロセスの見直しを検討してみていただきたい。
「「他社のシステムではどの新機能が使われている?」~Oracle Database 11g Release2 人気のお勧め新機能」
データベース・チューニングはリアクティブから"プロアクティブ"へ
今回は、パフォーマンス・チューニングへの取り組みに関して、多くの企業に見られる問題点を指摘してきたが、そもそも中島氏は、この「チューニング」という言葉の使われ方自体に違和感を持っている。
「IT業界では、チューニングという言葉がリアクティブ(受動的)な意味で使われることが多い。つまり、何か問題が起き、それに対処することをチューニングと呼んでいるのだ。しかし一般に、チューニングという言葉は、例えばミュージシャンが本番演奏の前に行う調律のように、音のズレなどの問題を未然に防ぐ準備、すなわち「プロアクティブ(予見的)」な行為に対して使われる。オラクルでは今後、データベースの世界におけるチューニングを、そうしたプロアクティブな行為として提唱していく構えだ。
ちなみに、中島氏によれば、Oracle Database 11gの新機能の多くも、プロアクティブなチューニングの支援に重きが置かれているという。