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「ライバル製品のマニュアルばかり読んでるなんて、全然ハッピーじゃない」―マーク・タウンゼント氏に訊く、Oracle Database 12cの進化

つい先日、Oracle OpenWorld 2012 Tokyoが開催された。2012とはいえ、その内容は2011年10月にサンフランシスコで開催されたOracle OpenWorld 2011を踏襲しており、その後のアップデートが少し入ってたというもの。2012年9月30日から開催されるOracle OpenWorld 2012 San Franciscoこそが、最新のOracleの製品、サービス戦略のお披露目となるはず。そのタイミングでベールを脱ぐことになるのが、Oracle Database 12cであろう。これにはいったい、どのような機能追加がなされるのか。米国Oracle プロダクトマネジメント サーバーテクノロジーのバイスプレジデント マーク・タウンゼント氏に話を訊いた。

 このインタビューを終え1週間ほどが経ったとき、タウンゼント氏の訃報が飛び込んできた。突然の病で命を落としたとのこと。これまで何度かタウンゼント氏にはインタビューを受けてもらったことがあるし、彼のセミナーや講演も何度か聴講している。真摯な受け答えのなかに、ちゃんとユーモアがちりばめられており、いつも楽しいインタビューだったことが思い起こされる。このインタビューが、彼にとっては最後のプレスインタビューだったようで、記事を書いていて、なんともやるせない気持ちになってしまった。享年48歳、まだまだ若すぎる。タウンゼント氏のご冥福を、心よりお祈りする。

まだまだOracleデータベースには拡張する余地がある

キャプ
マーク・タウンゼント氏

  現行のOracle Database 11g R2くらいになると、データベースとしてはすでにほぼ完成形で、それほど拡張の余地はないとも思えてくる。そういった疑問をOpenWorld Tokyoのために来日していた、米国Oracle プロダクトマネジメント サーバーテクノロジーのバイスプレジデント マーク・タウンゼント氏に投げかけた。

「そんなことはまったくありません。まだまだOracle Databaseは進化します。拡張の方向性の1つが、より数多くのデータベースサーバーをきちんと統合できるようにすること。現状、数100台のデータベースサーバーを運用している顧客は珍しくありません。さらに、1万、2万台ものデータベースを運用している例もあります」(タウンゼント氏)

 こういった顧客に対し、どうやって統合をするのか。物理的に1つにしていく方法もあれば、仮想的に一元化する方法もある。そして、数が多ければ当然ながら管理手間も大きくなり、複雑化する。サーバーごとに、管理手法が異なるかもしれない。そういった数多くのデータベースを抱えているがために起こる、課題を解決するのは今後の製品では重要となる。

 「たとえば、数多くのデータベースを運用しなければならない際に、標準的な設定構成を簡単に繰り返し適用できるようにすることが考えられます。これができれば、数100台、数1,000台のサーバーがあっても、同様な構成を容易に迅速にセットアップでき、管理も統一化できます」(タウンゼント氏)

 一方、増えすぎたデータベースサーバーを分散させたままにするのではなく、統合化する動きも当然ある。Oracleでは、この要求に対してグリッドという方法を提案し、さらにクラウドも統合化のための1つの解決策として提示している。「システムを統合化するための機能追加は、今後も随時行っていく」とのこと。さらに数多くのサーバーを統合化することで、新たな課題も出てくる。データ量の急激な増加、そのために起こるさらなるパフォーマンスへの要求など。数多くのデータベースを統合化したことで出てくる要件を、新バージョンでは満たしていくことになる。

 そして、タウンゼント氏によれば、「数年後には数百ペタバイトのデータウェアハウスも当たり前の時代」が来るという。

 「現状のビッグデータを扱うための技術は、Googleやfacebookなど、一部の企業が持っている特殊な技能があってこそ使えるもの。Oracleでは、今後ビッグデータが当たり前の時代になることを見据えて、ビッグデータを扱うための仕組みを誰でも使えるようにします」(タウンゼント氏)

 そういった発想のもと提供しているのが、Oracle Bigdata Appliance。ところで、Bigdata Applianceは、"Exa"という名前をもらっていない。その理由は、他のExaシリーズの製品よりもEngineeredの度合いが低いからだという。Bigdata Applianceについては、当然ながら今後さらにEngineeredの度合いを高めていくことになり、それが進んでいけばExaシリーズのラインナップに加えられるのかもしれない。

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Oracleは革新的ではあるけれど同時に現実的なところを目指している

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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