イノベーション創出につなげる「アイデアソン」
イノベーションの創出には多様性が必要だとよく言われますが、そのためにはイノベーションの創出を目論む現場が組織の外に向かってオープンになることが求められます。その点では、イノベーション創出のプロセス自体を組織の外に対してオープンにし、ターゲットとなる顧客や利用者などを含めた“価値提供に関わるステークホルダー”を巻き込みんでいきます。このようなイノベーション創出のための作業を行う「参加型デザイン」と呼ばれるアプローチが、多様性を重視したオープン・イノベーションの1つの方法といえるでしょう。
参加型デザインのアプローチを実際に現場に組み込むための方法の1つとしては、「アイデアソン」を利用するやり方があります。
アイデアソン(Ideathon)は、アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を合わせた造語です。集まった参加者がいくつかのチームに分かれて、あらかじめ定められたテーマに関するアイデアを対話や共同作業をするなかで出し合い、それをまとめていくワークショップ形式のイベントがアイデアソンです。
ソフトウェア開発の分野で行われる「ハッカソン」とも似ていますが、すこし違います。ハッカソンが1日から数日かけてチームでの共同作業で実際に使えるソフトウェアを開発するのに対して、アイデアソンは共同作業でのアウトプットはあくまでアイデアであり、2~3時間程度で行われることが多いというのがその違いです。
また、アイデアソンの場合、特に開発スキルなども問われないのでハッカソンなどに比べて参加のハードルも低く、テーマに対する関心さえあれば誰でも参加しやすいのが特徴です。ハッカソンでも同様ですが、アイデアソンでは基本的にテーマに関心をもった参加者をオープンに募集しますので、多様な人たちを集められるところに魅力があります。
この参加者をオープンに集めて実施するアイデアソンが、イノベーション創出の現場で役立つのはどんな点でしょうか。アイデアソンの主なメリットは2つあります。