HDXテクノロジーとICAプロトコル
HDXはHigh Definition Experienceの略で、XenDesktopが配信する仮想デスクトップやアプリケーションに対して、ローカルデバイスで使用する場合にも劣らない、優れた操作性を提供するためのテクノロジーの集合体である。
HDXを実現するための通信プロトコルとしてはCitrix独自のICA(Independent Computing Architecture)プロトコルが用いられる。ICAプロトコルは15年以上に渡ってCitrixが開発・改善を進めてきた。開発された当時はネットワークの通信速度が現在に比べて圧倒的に遅く、通信の安定性も劣る環境だったが、そうした中でもユーザーがリモートからWindowsアプリケーションにアクセスすることを可能にしてきた。
現在はICAプロトコルが登場した当時に比べると企業やモバイルなどのネットワーク環境が大幅に改善されているが、それに合わせてHDXおよびICAプロトコルも発展を続けており、現在では医療現場や3Dグラフィックスを使用するCADなど、GPUを使用するようなアプリケーションを使用する場面においても多くの実績がある。
今回は書籍の第2章「XenDesktopの機能とアーキテクチャ」をベースに一部を抜粋して紹介した。XenDesktopを構成する各モジュールや用語の説明については、詳細部分を省略しているため、書籍を通してより深い内容に触れて頂ければ幸いである。
■■■ 関連書籍の紹介■■■
『Citrix XenDesktop デスクトップ&アプリケーション仮想化 実践ガイド』(2014年3月、翔泳社発行)
「デスクトップ仮想化」とは、企業や組織のメンバーが使っている多数のパソコンを仮想化ソフトで集約したものを言います。ユーザーは専用端末やノートPCからアクセスすることで、社内外のどこでも同じソフトが使え、同時にセキュリティレベルを高められるというメリットがあります。
Citrix XenDesktopはこうした仮想デスクトップを統合管理するためのソフトで、複数の仮想化ソフトに対応し、ユーザー権限や通信の制御をGUIで実現します。本書はこのXenDesktopについて、機能だけではなく実際にシステムを作る際の設計や導入のポイントまでを説明した本格的な解説書です。システムを作る人、使う人のニーズに応え、新しいコンピュータの使い方を紹介する一冊となっています。