マイナンバー対応プロジェクトのオーナーシップは人事部門で
――マイナンバー対応プロジェクトの現在までの状況や対応プロジェクトの体制について教えてください。
城戸氏:マイナンバーに関する法律は早くにできていましたが、実務レベルの情報はなかなか出てきませんでした。そのため情報収集のための時間が長かったのが実情です。2014年12月にやっと特定個人情報取り扱いのガイドラインが出て、そこから動き始めた感があります。実際には2015年に入ってから活動を始めました。
体制としては、サッポログループの中の機能分担会社であるサッポログループマネジメントが中心になってマイナンバー対応を進めています。もともとグループの共通業務を集約する役割を持っており、その中に給与計算やITシステムが入っていたためです。それと持株会社のサッポロホールディングスには法務やコンプライアンスを担当する部隊があるので、そことも一緒にプロジェクトを進めています。あとは期限が迫っていることもあり、外部の専門家にも支援してもらっています。
石原氏:専門家として野村総研に協力してもらっています。ITのアウトソーシングも彼らにお願いしているので、製造から設計、さらにコンサルティングまで一気通貫でできると考えコンサルティング部隊に支援をお願いしました。
城戸氏:もう1つ、今回のマイナンバーとは関係なく、サッポログループではワークスアプリケーションズのERP「COMPANYシリーズ」を導入しています。COMPANYではいち早くマイナンバー管理の仕組みも提供するというので、これをキーシステムとしてマイナンバー対応を進めることにしました。ですから、ワークスアプリケーションズにも外部の専門家としてプロジェクトを手伝ってもらっています。
――今回のプロジェクトでは、人事のグループがリーダーとなって主導されているのでしょうか。
石原氏:そうですね。マイナンバー対応は、関係する部署が多岐にわたりますが、対応業務の8割くらいが人事の領域ですから。なので、当社の場合はプロジェクトのオーナーシップは人事総務が取るべきと判断しました。難しいのは経理部門の関わり方でしょうか。
城戸氏:給与業務に紐付くところがたくさんあります。その中でシステムの処理はどうするかが出てくれば、ITの仕組みと結び付けて考えることになります。社員に関連するところは人事主導でやればいいのですが、個人事業主への支払いのところなどはそこから外れるのでちょっと対応が大変になるかもしれません。
また、経理関係で課題となりそうなところは、情報を経理部門に集めています。支払調書を洗い出して規模感もだいたい把握できています。借り上げ社宅などで取引先が個人の場合にどうするのか、外食のビジネスでは取引先が個人事業主の場合も多いので、そういったところの洗い出しを行っています。