きっかけはシャドーIT的でも選ぶべきは堅牢性のあるクラウドサービスを
前述のように、BI Cloudにはクラウド上にデータを上げる機能を多数用意している。これにより信頼性の高いデータ活用環境を、IT部門がガバナンスを効かせた形で用意できる。「Oracle Databaseが持っている機能は、そのままクラウドでも使えると思っていいでしょう。オンプレミスでできることは、ほぼそのままクラウドでも実現できます」と五十嵐氏。そのためかなり細かいレベルでのアクセスコントロールも可能だ。これは、クラウドBIを全社展開をする際には必須の機能となる。
「クラウドだけのBIツールの多くは、そのツールの中だけで有効なアクセスコントロール機能は持っています。これだけではさまざまな部門からのガバナンスの効いた形での利用や、細かいレベルでの権限管理などがうまくいかないこともあります」(五十嵐氏)
できないので特定部署による特定データの分析止まりとなってしまう。企業の重要なデータも分析して活用するとなれば、これまでオンプレミスで実施してきた高度できめ細かいデータ管理がクラウドでも必要となるのだ。
もう1つOracle Cloudならではの特長がある。「Oracle Cloud Platform(PaaS)全体で言えることですが、Oracleは可搬性を大事にしています。これはクラウドとオンプレミスのいいとこどりをするようなものです」と五十嵐氏。クラウドとオンプレミスで同じテクノロジースタックが使われているので、例えば、既にお客様がオンプレミス上で構築しているBIシステムを新しいテクノロジーを享受する為にクラウド環境にデータモデルを移行する事が可能だ。また、プロトタイプ開発をクラウド上で速やかに行い、オンプレミスの本番環境に移行するといった事も今後、容易に行われるようになっていくだろう。
「Oracleのサービスは、クラウドに囲い込むものとは違います」(五十嵐氏)
保守的だと思われている金融機関などでも、プロトタイプ開発とテストは迅速性を確保できるクラウドで行う動きも出ている。実際の運用はプライベートクラウドやオンプレミスなど信頼性の高い環境で運用するとしても、クラウドでもオンプレミスでも稼働環境を選ばない。今後これは、大きな価値となると五十嵐氏は指摘する。
「クラウドなので速く簡単に使える、これはどのベンダーでも主張しています。その上で、エンタープライズで利用できるセキュリティ性と信頼性があるのか。Oracle Databaseは、エンタープライズ・レベルの高いセキュリティ機能をもっています。オラクルのBI CloudはこのOracle Databaseに格納されたデータを活用します。」(五十嵐氏)
部門で試しに使うのだから多少セキュリティが甘くてもいいということは絶対にない。とくに、個人情報など企業の重要情報に少しでも関わるのであれば、当初から堅牢な仕組みが必要だ。なのできっかけはビジネスユーザーによるシャドーIT的なものであっても、選択すべきは信頼性の高いクラウドサービスを選ぶべきだと五十嵐氏は強く主張する。