Oracle Databaseを活用していることは、IT部門にもメリットをもたらす
「IT部門がビジネスユーザーの要望を聞き、いちいち下準備する必要がないので管理の手間は削減されます。しかしクラウドとはいえ、全社規模での導入となれば運用、管理面では何らかの作業も発生します。その際にもこれまで利用してきたOracle Databaseのスキルで対応できるので、IT部門は安心です」(五十嵐氏)
BI Cloudについては、エンドユーザーとなるビジネスユーザーとIT部門が合意した形での採用が6割程度あるとのこと。「ビジネスユーザーだけの判断で導入すると、どうしてもシャドーIT的となりその後の広がりがありません。IT部門と一緒に合意していれば、企業のITの仕組みとして納得して導入してもらえます」と五十嵐氏。BI Cloudはビジネスユーザーだけでももちろん活用できるが、それだとデータの取り扱いのところでガバナンスが効かなくなる可能性もある。
「データベースも含めOracleの技術でクラウドに行ける。このことはIT部門も安心できるポイントです」(五十嵐氏)
データを自動判別し最適な方法をツールが選択
オンプレミスのデータ活用環境であれば、データウェアハウスなりに必要なデータをロードしデータマートなどを作ってエンドユーザーに提供する。クラウドの場合には、あらかじめIT部門がロードして用意するデータもあれば、エンドユーザーが手元にあるデータを自ら追加し利用する場合もある。BI Cloudでは、データをクラウドに上げるためのさまざまな方法を用意している。「BIの画面からエンドユーザーが簡単に手元のExcelファイルを追加できる機能などが用意されています」と五十嵐氏。このあたりの機能は、クラウドになってからより進化したものだとのこと。
何らかのビジネス施策を行い、そこから得られたデータを追加し何が起こったかをすぐに知りたい。それを容易に実現するのが、Visual Analyzerと呼ばれる機能だ。これはデータから探索、発見するためのもので、この機能を使ってデータをどのように見ればいいかが分かれば、ダッシュボードのようなものを作りマネージメント層などに提供する。
今回、BI CloudではこのVisual Analyzer機能が強化された。その1つがクラウド上にロードされたデータから、分析したい項目を選択すると、選ばれたデータを自動的に判別し最適な表現で自動表示する機能だ。たとえば、売上金額、売上数量、値引率、販売した地域という4項目を選ぶと、3つの数値データと1つの地域だと判断し、最適な散布図が自動的に表示される。散布図を見てさらに男女別の購買情報を加えるといったことも、ドラッグ&ドロップの操作で簡単に行え、分析者の思考を妨げずに素早く情報探査が可能となる。
「グラフを変更したり、手元にあるデータをすぐに追加したりといったことが簡単にできます」(五十嵐氏)
たとえば手元にあるExcelデータを追加する場合にも、列名が同じであればデータを自動的に結合するので追加した情報がすぐに画面に反映できるのだ。ユーザーが追加したデータをどういったユーザーと共有するのかと言ったこともきめ細かく設定可能だ。
さらに、もう1つ力を入れているのが地図表現だ。
「BI Cloudには地図情報を内包しているので、地図情報付きのデータを地図上に張り付ける事ができます。日本を選択して地名を選択すれば地図上に地域別の売り上げデータなどを簡単に表示できます」(五十嵐氏)
「BIと地図機能をユーザーがインテグレーションする必要はありません」と五十嵐氏、これらの機能は標準で搭載されており、追加料金なしで利用可能だ。
オンプレミスのツールで新機能を使おうとすれば、バージョンアップしたり機能を追加でインストールしたりといった手間が発生する。クラウドならば新機能は自動的に追加されすぐに利用可能だ。Oracleでは、先進的な機能をオンプレミスよりはむしろクラウドに先行して適用する傾向も出てきているとのことだ。