電力、ガス分野の自由化を見据え新体制で臨む
2016年4月に電力、2017年4月にはガスで小売り自由化が始まる。さらに2020年には規制緩和がさらになされ、本格的な自由化が始まる。
「自由化でこれらの業界に新規参入する企業が増えます。新規参入のためにはIT活用が必須です。このあたりの変化は、欧米ではすでに経験済みです。Oracleは世界のそういった分野で実積があり、そのノウハウをこれまでも日本の顧客にも提供してきました。これからもさらにそれを提供していきます」(三澤氏)
既存の電力会社やガス会社にも新たなIT活用ニーズがある。これまで彼らは「ライバルを打ち負かす」経験がない。既存顧客をどうキープし、新たな顧客を獲得すればいいのか。こうした部分をサポートしていくのがOracleのミッションだ。競争については携帯電話事業者などを始め、他業種ではさまざまな施策がすでに行われている。
「電力やガスにもその経験を提供し、日本の状況に合わせたサービス展開をする。これまでは電力中心にビジネスを展開してきましたが、新たにガスも加え体制も作り直しました」(三澤氏)
グローバルな事例とソリューションがあるのがOracleの特長だ。そして、さまざまなソリューションを包括的に提供できるのも強みだという。
「ERPもあればメーターデータの管理もあり、BIも提供できます。自由化は待ったなしの状況なので短期導入が必要となる。それを実現するためにはクラウドで速く開発します。それをPaaSでやります」と三澤氏は言う。新規参入企業は、さらに素早く展開する必要があるのでSaaSを提案することになる。
またメーターデータの処理などは、IoTの世界でありビッグデータ処理でもある。これを支えるIT基盤は、エンジニアドシステムでというのがOracleの戦略だ。さらにはスマートメーターが全世帯に普及すれば、それらに対するサイバーテロへの対策も必要となる。Oracleならそれについても支援できると、ソリューションの包括性を三澤氏はアピールする。
「これまでの活動は事例紹介が中心だったが、これからは日本の要件に合った具体的なソリューションを提供する」と語るのは、電力・ガスシステム改革支援室 室長の田積 まどか氏だ。
たとえばスマートメーターのデータ収集は、日本は諸外国よりも頻度がかなり高い。そういった状況に合わせた具体的なソリューションを展開する。
電力・ガスシステム改革支援室には、米国からその分野で経験を積んだバイスプレジデントが1名常駐している。この組織は新たに30名体制で活動を始め、グローバルのリソースもバーチャルに利用している。また、今年度から強化している国内支社体制においても、公益事業専任者を支社に置き地方でのビジネス展開も強化するとのこと。
電力、ガス業界向けのSaaSの強化として、料金計算パッケージの「Oracle Utilities Customer Care and Billing 2.5」の機能拡張が発表された。表示速度の向上やモバイル対応がなされ、一部開発にCOBOLを利用していた部分も今回からはすべてJavaに刷新された。オンプレミスでの包括的な品揃えに加えSaaS、PaaS、IaaSで展開できるのがOracleの強みであり、SaaSのラインナップは、今後さらに充実させていくという。