SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

ビッグデータ社会のプライバシー問題

実証研究から見えてきた、パーソナルデータ活用のための「民間自主ルール作り」のポイントと検討課題とは?

■第16回

 マルチステークホルダープロセスを通じたパーソナルデータ活用のための民間自主ルール作りは、諸外国を見渡しても、未だ試行錯誤している段階にある。個人情報保護法の改正を機に今後、我が国においても様々な民間自主ルール作りが行われていく見込みであるが、パーソナルデータ活用による産業振興を主導する経済産業省では、いち早くマルチステークホルダープロセスの実証研究に着手している。今回は、マルチステークホルダープロセスに係る先行研究の事例として、2014年度に野村総合研究所が経済産業省から委託を受けて実施した実証プロジェクトにおけるルール作りについて紹介する*1 。

実証プロジェクトの概要

 前回の記事では、個人情報保護法の改正によって、個人が特定できないようにデータを加工処理した「匿名加工情報」という個人情報とは別の新たなパーソナルデータの区分が設けられ、本人同意がなくても様々な利用目的に利用したり、第三者へ提供したりすることができるようになったことを紹介した。

 匿名加工情報を作成するためには、個人情報保護委員会の基準に基づいて、業界ごとに民間団体が自主ルールを定めることが求められている。本稿で紹介する実証プロジェクトでは、クレジットカード業界における匿名加工情報の作成方法に関するルール作りを目的に、新たなデータ活用ビジネスを題材にして、主要なステークホルダーを集めた検討会を実施した(図表1)。

 検討会の体制は、マルチステークホルダーによる構成となるように、事業者、消費者代表、専門家(法律、技術)が委員として、政府機関がオブザーバーとして参加いただいた。また事業者には、クレジットカード会社、加盟店、分析事業者に参加いただき、クレジットカード業界としても、マルチステークホルダーとなるよう配慮した。

目的 匿名加工情報の作成方法のルール作り
主催者 経済産業省
事務局 野村総合研究所
業界 クレジットカード業界
マルチステークホルダープロセス(検討会)・参加者の構成
  • クレジットカード会社
  • 加盟店事業者
  • データ分析事業者
  • 消費者代表
  • 法律専門家
  • 技術専門家
  • 政府機関(内閣官房、特定個人情報保護委員会、消費者庁、経済産業省)
アドバイザー会議・参加者の構成
  • 法律専門家
  • 技術専門家
  • 事業者
実施期間 2015年1月~3月

              ▲図表1:匿名加工情報の作成に係る実証プロジェクトの概要
出所:経済産業省事業「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(パーソナルデータ利活用に関するマルチステークホルダープロセスの実施方法等の調査事業)報告書」野村総合研究所(2015年3月)を基に作成

 さらに、マルチステークホルダーで構成する検討会の諮問機関として、専門家(法律、技術)を中心としたアドバイザー会議を設置し、検討会で議論する題材を、専門的な見地から分析して助言する機能を有した位置づけとした(図表2)。

▲図表2:検討会とアドバイザー会議の関係
出所:経済産業省事業「平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(パーソナルデータ利活用に関するマルチステークホルダープロセスの実施方法等の調査事業)報告書」野村総合研究所(2015年3月)

次のページ
ユースケースと議論の実際

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
ビッグデータ社会のプライバシー問題連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

小林 慎太郎(コバヤシ シンタロウ)

株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 兼 未来創発センター 上級コンサルタント専門はICT公共政策・経営。官公庁や情報・通信業界における調査・コンサル ティングに従事。情報流通が活発でありながら、みんなが安心して暮らせる社会にするための仕組みを探求している。著書に『パーソナルデータの教科書~個人情報保護からプライバシー保護へとルールが変わる~』(日経BP)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/7168 2015/09/17 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング