
データ分析というと反応は真っ二つになります。『分析ならもうやってきた。何をいまさら派』と『分析といっても何していいのかわからない。何すりゃいいの派』。つまるところ、データ分析を何のために行うのか?を明確にしていないためにモヤモヤとしてしまっているのです。第1回目は、「データ分析とは何か」を定義し、本当にデータ分析は企業に必要なのかどうか、詳しく見ていきます。
「戦略的データマネジメント」の定義
さて、本連載は『戦略的データマネジメント講座』です。ですから、最初に「データマネジメントとは何か」、また、それが「戦略的であるとはどんな状態か」を考えておく必要があります。
この問いに答えるには、データを定義して、マネジメントを定義し…と積み上げる方法が一般的には行われるでしょう。しかし、本講座の読者にとって、データの定義など枝葉末節だと筆者は考えます。
つまり、情報システム部のメンバーにとっては、経営情報基盤の更新・構築、業務レポート基盤の更改に際して何を考慮すればよいか、何に備えればいいのか、マスタデータマネジメントにどう取り組んでいくかということこそが興味の対象になるでしょうし、CIO(Chief Information Officer)にとっては経営ダッシュボードの見直し・再構築、IoT(Internet of Things)への準備・利活用検討、CDO(Chief Data Officer)やデータマネジメント組織の検討といった目の前の事案についてこそが興味の対象になるでしょう。データの定義に要するとんでもない量の議論や学術的記述は、目の前にある企業の課題に応えないと筆者は思います。
そこで少し乱暴ではありますが、本稿では一旦、データマネジメントを以下のように定義します。
”データライフサイクルの6つのフェーズ※を意図したようにコントロールすること ( = 説明がつけられること)”
※Create(作成) →Store(保存)→Use(利用)→Share(共有)→Archive(アーカイブ)→Destory(破棄) の6つ/Security Guidance for Critical Areas of Focus in Cloud Computingより
そして戦略的であるとは、 以下のように定義します。
”データライフサイクルが無理なく日常業務の中にとりこまれ、必要な、または、将来必要になる可能性のあるデータができるだけ再利用可能な形で整えられていくこと”
このように定義してしまえば、データ分析は利用と共有のフェーズに他なりません。そして、データ分析を考える時には、同時に、その他のフェーズについても考慮の必要があるのは自明と言えるでしょう。
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- この記事の著者
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藤田 泰嗣(フジタ タイシ)
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
ビジネスとテクノロジを接続するテクノロジ領域のクラッチコンサルタントとしてアーキテクチャに関する経験を多数有する。ビジネステーマはTrustworthy DATA。 情報システム担当部門の業務改革を基軸に、データガバナンス改革、ワークスタイル改革などを手掛...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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