企業にとっての“顔”であり、かつ自社製品・サービスの重要な販路でもあるWebサイトを、サイバー攻撃の脅威から守ることは、今やあらゆる企業にとって重要な経営課題であるといえよう。では、具体的にどのようなリスクが存在し、それに対して企業はどんな対策を講じるべきなのだろうか? 一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(以下、JPCERT/CC)の早期警戒グループ 技術アドバイザーとして最新のセキュリティ動向に常に目を光らせるとともに、東京大学 情報学環 特任准教授としてセキュリティ技術の研究や後進の指導にもあたる満永拓邦氏に、最新のWebセキュリティ事情について聞いた。
減少傾向にあるものの、いまだ優先度が高いWebセキュリティ対策
JPCERT/CCでは、四半期ごとに「JPCERT/CC インシデント報告対応レポート」を発行している。その中で報告されたWeb改ざんの報告件数の推移を追うと、2013年第二四半期をピークに、徐々にその数は減少傾向にある。
ただし、インシデント全体の中で占めるWebセキュリティインシデントの数は相変わらず多く、2015年第四四半期のレポートにおいても、「Webサイト改ざん」「フィッシングサイト」「標的型攻撃」の3つのカテゴリに属するインシデントで、全体の件数の約45%を占めている。
こうした調査結果を見ても、Webセキュリティに対する備えはあらゆる企業にとって、依然として重要度が高い取り組みだと満永氏は指摘する。
「Webサイト改ざんの報告件数のピークは越えたとはいえ、いまだに平均すると1日10件ほどのインシデント報告があります。これまでと変わらず、Webセキュリティの脅威は企業にとって重要なリスク管理対象だといえます」